ちゃんと教えているのに届かない時があります
(前編)
お母さんへ。
一生懸命説明しているのに、
なかなか伝わらない。
何度教えても、
途中で止まってしまう。
そんな場面に、
「どうしたら分かってくれるのだろう。」
と悩むことはありませんか。
もちろん、
お母さんは真剣です。
「分かるようになってほしい。」
「困らないようにしてあげたい。」
そのお気持ちがあるからこそ、
丁寧に、
正しく、
一生懸命教えようと
されているのだと思います。
けれど私は、長く
子どもたちと関わる中で、
少し違う場面を
何度も見てきました。
不安が強い子や、
緊張しやすい子の場合、
正しい説明だけでは、
うまく届かないことがあります。
それは、
理解する力がないから
ではありません。
頭の中が緊張していると、
人の話を聞くことや、
新しいことを
受け取ること自体に、
大きな力を
使ってしまうことがあるからです。
例えば、
先生の話は聞いている。
問題も見ている。
でも、
なぜか動けない。
そんな子がいます。
私はその時、
「もっと説明しなければ。」
とは考えません。
まず、
安心して受け取れる
状態をつくることを
大切にします。
一気に詰め込まない。
すぐ答えを求めない。
少し待つ。
一緒に確認する。
分からなくても責めない。
そんな時間を重ねていくと、
止まっていた子が、少しずつ
動き始めることがあります。
もちろん、すぐに
大きな変化が出るわけ
ではありません。
でも、
安心できる空気の中では、
子どもの呼吸が少しずつ整い、
今まで入らなかった言葉が、
少しずつ
届き始めることがあります。
だから、
焦らなくて大丈夫です。
今はまだ、
理解する力が足りないの
ではなく、
「受け取る余裕」が
少し苦しくなっている
だけなのかもしれません。
後編では、
安心できた時に、
子どもの中でどのような
変化が生まれるのかを
お話しします。
安心できると、言葉は少しずつ届き始めます
(後編)
お母さんへ。
前編では、
「ちゃんと教える」だけでは、
届きにくい時があることを
お話ししました。
子どもたちは、
安心できた時に、
少しずつ学びを
受け取れるようになることがあります。
最初は、
説明を聞いていても、
どこかぼんやりしていた子が、
少しうなずくようになる。
一緒に確認しながら、
ゆっくり進められるようになる。
そんな小さな変化があります。
私は、
その小さな変化こそ、
とても大切な一歩だ
と思っています。
不安が強い子ほど、
心の中では、
「間違えたらどうしよう。」
「分からなかったら困る。」
そんな緊張を抱えていることがあります。
だから、
「ちゃんと聞いて。」
「早くやって。」
と急がれるほど、
さらに頭の中がいっぱいに
なってしまうことがあります。
でも、
急かされない。
責められない。
少し待ってもらえる。
そんな安心できる空気の中では、
少しずつ心の余裕が
戻ってくることがあります。
すると、
今まで止まっていたところが、
ふっと
動き出すことがあります。
「あ、分かったかもしれない。」
「もう一回やってみようかな。」
そんな小さな感覚です。
もちろん、
大きな変化
ではありません。
でも私は、
その「少し入ってきた」という感覚を、
とても大切にしています。
大人でも、
緊張している時には、
人の話が頭に入らないことが
ありますよね。
でも、
安心できる場所では、
落ち着いて話を聞くことができます。
子どもたちも、
きっと
同じなのだと思います。
だから、
焦らなくて大丈夫です。
ゆっくりで大丈夫です。
教える前に、
安心できる時間をつくる。
受け取れる心を育てる。
その積み重ねの中で、
子どもたちは少しずつ、
自分のペースで学びへ
戻っていくことがあります。
私はこれからも、一人ひとりの
「受け取れる瞬間」を大切にしながら、
その子の歩みに
寄り添っていきたい
と思っています。