話せない子ほど、心の中では関わりを求めています
(前編)
お母さんへ。
お子さまが、
あまり話をしない。
返事が少ない。
目を合わせない。
そんな姿を見ると、
「何を考えているのだろう。」
「私の話を聞いていないのかな。」
と、不安になることがありますね。
けれど私は、長く
子どもたちと関わる中で、
少し違う姿を何度も見てきました。
話さないことと、
関わりたくないことは、
必ずしも同じではありません。
不安が強い子や、
言葉を出すことに
緊張しやすい子は、
「話したくない。」
というより、
「どう話したらいいか分からない。」
「言葉がうまくまとまらない。」
そんな思いを
抱えていることがあります。
だから、
返事が返ってこない時間も、
頭の中では一生懸命
考えていることがあります。
私はセッションの中で、
返事を急がないことを
大切にしています。
無理に会話を続けない。
静かな時間が流れても、
慌てて埋めようとはしません。
すると、
ふと目線が動く。
教材に手が伸びる。
少しだけ椅子を近づける。
そんな小さな変化が
見えてくることがあります。
私は、その一つ一つを、
「関わりたい。」という
小さなサインとして
受け止めています。
その子は、
話したくないのではなく、
「ここは安心していても大丈夫かな。」
そんな気持ちで、少しずつ
周りの様子を
確かめているのかもしれません。
だから私は、
その小さな変化を急がず、
その子のペースを大切にしながら、
一緒に時間を重ねています。
言葉だけが、
関わりではありません。
同じ空間にいる。
安心して座っていられる。
同じ教材を一緒に見つめる。
そんな時間そのものが、
子どもにとって大切な
関わりになることがあります。
だから焦らなくて大丈夫です。
今はまだ、
たくさん話すことより、
安心してそこにいられることを、
心が選んでいる
途中なのかもしれません。
後編では、
安心が育つことで、
その小さな関わりが
どのように広がっていくのかを
お話しします。
安心できる場所では、
小さな関わりが少しずつ育っていきます
(後編)
お母さんへ。
前編では、
話せない子ほど、
心の中では
関わりを求めていることがある、
というお話をしました。
安心できる場所の中では、
少しずつ、その子らしい
変化が見えてくることがあります。
最初は、
返事がほとんどなかった子が、
うなずくようになる。
目を合わせる時間が少し長くなる。
帰り際に、
小さな声で話しかけてくる。
どれも、
ほんの小さな変化です。
けれど私は、
その小さな関わりこそ、
大切な一歩だと思っています。
不安が強い子は、
「ちゃんと話さなきゃ。」
「変なことを言ったらどうしよう。」
そんな緊張を、心の中で
抱えていることがあります。
だから、無理に
会話を増やそうとすると、
かえって
疲れてしまうことがあります。
でも、
急かされない。
無理に話さなくてもいい。
その安心の中で過ごしていると、
少しずつ呼吸が落ち着き、
表情にもやわらかさが戻ってきます。
すると、ある日、
自分から近づいてきたり、
小さな声で
話しかけてくれたり
することがあります。
それは、
「この人なら大丈夫かもしれない。」
という安心が、少しずつ
育ってきた証なのだと思います。
その安心は、
「また来てもいい。」
「また話してみよう。」
そんな気持ちへと少しずつ
育っていきます。
その積み重ねが、
人を信じる安心となり、
人とのつながりを育てていくのです。
だから、お母さんも、
どうか焦らなくて大丈夫です。
たくさん話せなくても、
小さな視線。
小さなうなずき。
同じ空間で過ごす静かな時間。
その一つ一つにも、
子どもたちの
「関わりたい。」
という気持ちは、
確かに表れています。
話すことは、
関わりの一つです。
でも、安心して
同じ時間を過ごせることも、
子どもにとって
大切な関わりなのだと、
私は思っています。
私はこれからも、
その小さな関わりを
大切に受け止めながら、
一人ひとりの歩みに、これからも
寄り添っていきたいと思っています。