急がせない時間が、子どもの心を落ち着かせます
(前編)
お母さんへ。
お子さまに話しかけたとき、
「早く返事して。」
「ちゃんと聞いてる?」
「どうして黙ってるの?」
そんなふうに、つい
急かしてしまうことはありませんか。
もちろん、それは
お子さまが心配だからです。
返事が返ってこない。
黙ったまま動かない。
ぼんやりしているように見える。
そんな姿を見ると、
「何か声をかけなきゃ。」
と思うのは、とても
自然なことだと思います。
けれども私は、長く
子どもたちと関わる中で、
少し違う場面を
何度も見てきました。
不安が強い子や、
言葉を整理するのに
時間がかかる子は、
急かされることで、
さらに頭の中が
いっぱいに
なってしまうことがあります。
学校でも、
「早く。」
「まだ?」
「次は?」
そんな言葉に囲まれて
過ごしている子も
少なくありません。
だからこそ、
返事をするだけでも
大きな力を
使ってしまうことがあります。
私はセッションの中で、
質問をしたあと、すぐに答えを
求めません。
少し待ちます。
静かな時間を大切にします。
すると最初は
黙っていた子が、
しばらくしてから、
ぽつりと
話し始めることがあります。
その子は、
何も考えていなかったの
ではありません。
自分の中で、一生懸命
言葉を探していたのです。
大人でも同じですね。
急かされると、余計に
焦ってしまうことがあります。
だから私は、まず
呼吸が落ち着くことを
大切にしています。
「ゆっくりで大丈夫。」
そんな空気があるだけで、
子どもの表情が少し
やわらぐことがあります。
焦らなくても大丈夫です。
返事が遅いのは、
反抗ではありません。
今、その子なりの速さで、
一生懸命考えている
途中なのかもしれません。
後編では、その
「待ってもらえた経験」が、
子どもの安心と自信を、
どのように
育てていくのかをお話しします。
待ってもらえた経験が、子どもの自信になります
(後編)
お母さんへ。
前編では、
急がせない時間が、
お子さまの安心に
つながることをお話し
しました。
私は、子どもたちが
安心できた瞬間を、これまで
何度も見てきました。
言葉が出てこなくても、
黙って考えていても、
その時間をそのまま
受け止めてもらえた子は、
少しずつ
表情が変わっていきます。
例えば、
今まで黙っていた子が、
小さな声で話し始める。
自分から教材を開く。
「今日はここまでやる。」
と、自分で決める。
どれも大きな変化
ではありません。
けれど私は、
その小さな一歩こそ、
その子の歩みの
始まりだと思っています。
お子さまは、
急かされることで伸びるの
ではありません。
安心できる時間を重ねながら、
自分のペースを
取り戻していきます。
「待ってもらえた。」
その経験は、お子さまの
心の中に少しずつ積み重なります。
そして、
「考えてもいい。」
「ゆっくりでも大丈夫。」
そんな安心感へと
変わっていきます。
さらに、その安心は、
「自分のペースで進んでも大丈夫。」
という小さな
自信も育てていきます。
一度安心して話せた子は、
次も話してみようと
思えるようになります。
その積み重ねが、
次の挑戦へ向かう
勇気につながっていくのです。
そして、
「困ったときには、また話してみよう。」
そんな気持ちも
少しずつ育っていきます。
待ってもらえた経験は、
お子さまにとって、
「自分は受け止めてもらえる。」
という安心と
信頼になって残っていきます。
安心は、
目に見えません。
けれど、
その積み重ねは、やがて
お子さまの行動となって
現れます。
だから、お母さんも、
どうか焦らなくて大丈夫です。
今日すぐに変わらなくても、
待ってもらえた時間は、
決して無駄にはなりません。
その安心は、
お子さまの中で
静かに育ち、
やがて自分から
歩き出す力へと変わっていきます。
私はこれからも、
その子の歩幅を大切にしながら、
一歩一歩の成長を
見守っていきたいと思っています。