安心できる時間が、最初の一歩になります
(前編)
お母さんへ。
お子さんに勉強を教えているとき、
「だから、ここはこうでしょ。」
「まずここを読んで。」
「次はこれを書いてみよう。」
説明しているうちに、
ふと気づけば、厳しい言葉が
増えてしまうことはありませんか。
それは、お子さまのことを
大切に思っているからこそです。
何とか分かってほしい。
困らないようにしてあげたい。
その優しさが、自然と
言葉になっているのだと思います。
けれども私は、長く
子どもたちと関わる中で、
少し違う姿を見てきました。
不安が強い子や、
言葉を整理することが苦手な子は、
説明が増えるほど
頭の中が
いっぱいになってしまうことがあります。
すると、
急に黙り込む。
ぼんやりする。
違うことを始める。
あるいは、
「もう分からない。」
と言ってしまうこともあります。
お母さんから見ると、
「ちゃんと聞いていない。」
ように見えるかもしれません。
でも実は、
聞いていないの
ではありません。
情報が多くなりすぎて、
心も頭も疲れてはてて
しまうことがあるのです。
真面目なお母さんほど、
「きちんと教えてあげよう。」
と思います。
その丁寧さが、お子さまには
少し苦しく感じられることもあります。
だから私は、
教えることより先に、
安心していられる時間を
大切にしています。
安心して座れる。
少し笑える。
一緒に声を出して読んでみる。
そんなところから始める日もあります。
すると、
止まっていた子が、
呼吸を取り戻すように、
少しずつ動き始めることがあります。
私は、その小さな変化を
何度も見てきました。
焦らなくても大丈夫です。
「できない」のではありません。
今はまだ、
情報や不安が少し多すぎて、
動き出しにくくなっている
だけなのかもしれません。
まずは安心できること。
その積み重ねが、
「やってみよう。」
という気持ちを育てていきます。
後編では、
子どもが安心すると、
なぜ自分から動き始めるのか。
私のオフィスで見てきた
子どもたちの小さな歩みをもとに、
お話ししたいと思います。
安心すると、子どもは少しずつ動き始めます
(後編)
お母さんへ。
前編では、
説明が増えるほど、かえって
動けなくなってしまう
子がいることをお話ししました。
では、
子どもたちは
どんなときに、自分から
歩き始めるのでしょうか。
私は、その答えは
「安心」の中にある
と感じています。
勉強が止まっている子を見ると、
お母さんは、
「このままで大丈夫かな。」
「もっと教えなきゃ。」
「早くできるようにならないと。」
と焦ってしまうことがあります。
それは、お子さまを
大切に思っているからです。
けれども子どもたちは、
安心できたときに、
少しずつ
自分の力を出し始めます。
例えば、
説明を少し減らしたとき。
急かされなくなったとき。
「間違えても大丈夫。」
という
空気を感じたときです。
今まで黙っていた子が
話し始めたり、
自分から問題集を開いたり、
「今日はここまでやる。」
と決めたりします。
それは劇的な変化
ではありません。
けれど、その小さな一歩が、
歩みの始まりになります。
人は、
安心できる場所でこそ、
本来の力を発揮できます。
これは子どもだけ
ではありません。
大人でも、
「大丈夫ですよ。」
と言ってもらえると、
自然に
前進できることがあります。
だから私は、
勉強より先に、
安心して呼吸できる
空気を大切にしています。
すぐに結果が
出ない日もあります。
昨日と変わらないように
見える日もあります。
それでも安心は積み重なり、
ある日、
「あれ?」
と思うような変化が訪れます。
子どもたちは、
動きたくないの
ではありません。
安心して動き出せる
きっかけを、
まだ見つけられていない
だけなのかもしれません。
だからこそ、
焦らなくて大丈夫です。
安心できる場所の中で、
子どもは
自分の力で歩き始めます。
私は、
その歩みを、
これからも大切に
見守っていきたいと思っています。