【前編】
「どうしたい?」と聞かれると、
止まってしまう子どもたちへ
「何がしたい?」
「どうしたい?」
「どっちを選ぶ?」
こうした質問に、
すぐ答えられないお子さんがいます。
不登校や学習に苦手さを抱えているお子さんの中には、
「わからない」
「どっちでもいい」
「別に…」
という言葉が増えていく子も少なくありません。
でも、それを見て、
「やる気がないのかな」
「自分で考えられないのかな」
と判断するのは、
少し早いかもしれません。
実際の現場では、
まったく違う姿を見ることがあります。
例えば、
短い音読ならできる。
小さい暗算なら集中できる。
「今日は音読と暗算、どっちからにする?」という質問なら、
少し考えて選べる。
そんな場面が、よくあるのです。
私は最近、
子どもたちの様子を見ながら、
「決められない」のではなく、
「決められる状態まで神経が回復していない」
ということがあるように感じています。
学校や日常生活の中で、
・急かされる
・比較される
・失敗を怖がる
・正解を求められる
そんな経験が続くと、
子どもたちは少しずつ、
「選ぶ」ということ自体に疲れてしまいます。
すると、
「間違えたくない」
「怒られたくない」
「期待に応えないといけない」
という気持ちが強くなり、
自由に選ぶことが苦しくなっていくのです。
だから私は、
いきなり「頑張ろう」とは言いません。
まずは、
「選んでも大丈夫」
「間違っても大丈夫」
という安心感を、
小さな取り組みの中で積み重ねていきます。
音読をしたり、
短い暗算をしたり、
5分だけ集中したり。
そんな小さな成功体験の中で、
子どもたちの表情が少しずつ変わっていくことがあります。
後編では、
「頑張らせる」よりも先に大切なことについて、
もう少しお話ししてみたいと思います。
【後編】
「頑張らせる」よりも、
先に整えたいものがあります
不登校や学習に苦手さを抱えているお子さんを見ていると、
お母さん達は、
本当にたくさん悩まれています。
「このままで大丈夫なのかな」
「少しでも前へ進んでほしい」
「なんとか元気になってほしい」
そう願うのは、
とても自然なことです。
だからこそ、
つい、
「頑張ってみよう」
「少しだけ学校へ行ってみよう」
「勉強を始めよう」
と声をかけたくなることもあります。
でも、現場で子どもたちを見ていると、
実は、
「頑張れる神経状態」
そのものが、
弱っていることがあります。
そんな時に、
気持ちだけで前へ進もうとすると、
子どもはさらに疲れてしまいます。
だから最近、
私はまず、
「安心して動ける状態」
を整えることを大切にしています。
例えば、
・短い音読
・小さな暗算
・「どっちにする?」という簡単な選択
・短時間だけ集中する
そんな小さな取り組みです。
すると、
「今日はこっちにする」
「もう一回やってみる」
「次はこれ」
と、
少しずつ“自分で選ぶ力”が戻ってくることがあります。
私は、
不登校や学習支援で本当に大切なのは、
「無理に動かすこと」
ではなく、
「またやってみようかな」
と思える感覚を取り戻すことではないかと感じています。
お母さん達にとっては、
難しい理論よりも、
「最近ちょっと表情が明るい」
「少し会話が増えた」
「前より疲れにくそう」
そんな小さな変化の方が、
ずっと大切だと思います。
だから今日も、
焦らず、
小さな安心を積み重ねながら、
子どもたちと向き合っています。
その子のペースで、
その子らしく、
また少し前へ進めるように。