最初の変化は、数字には表れないことがあります
(前編)
お母さんへ。
子どもが少しずつ
元気になってほしい。
また、勉強できるように
なってほしい。
そのように願うお気持ちは、
当然です。
どうしても、
成績。
勉強時間。
集中できた時間。
学校へ行けた日数。
そんな目に見えるところから、
「変わってきたかな。」
と確かめたくなることが
あると思います。
もちろん、
そうした変化も
大切です。
でも私は、
その少し手前にあるものも
見るようにしています。
ある日の朝、
いつもより少し
表情がやわらいでいました。
何か特別なことが
あったわけではありません。
その子が、ふっと、
「今日は、ちょっとラク。」
と言いました。
それだけです。
勉強がたくさん
できたわけでもない。
何か大きな問題が
解決したわけでもありません。
でも、
以前より少し
肩の力が抜けている。
話す声も、
ほんの少し
軽く聞こえる。
私は、
こうした変化を
とても大切にしています。
そして、こんな変化が見えた時ほど、
「じゃあ、次はこれを。」
と急がないことも、
大切なのだと思います。
せっかく戻ってきた
「ちょっとラク」という気持を、
まずは、そのまま
味わえる時間があってもいい。
子どもがしんどそうな時、
大人はどうしても、
「何をさせればいいだろう。」
と考えます。
でも、何かが
できるようになる前に、
まず、
少しラクに過ごせる時間が
増えてくることがあります。
何気ない話をする。
ちょっと笑う。
好きなものに手を伸ばす。
「今日はこれにする。」
と自分で決める。
そんな小さな姿が、
少しずつ戻ってくる。
テストの点数には
まだ表れません。
成績表にも載りません。
でも、
昨日より少しだけ
自然に過ごしている。
その姿も、
子どもの大切な変化なのだと
私は思っています。
大きな成果を探す前に、
「最近、ちょっと
ラクそうな時間があるな。」
そんなところにも
目を向けてみる。
そこには、
これから動き始めるための
小さな変化が、
もう生まれているのかも
しれません。
「少しラク」になると、日常の小さな動きが戻ってきます
(後編)
お母さんへ。
子どもの表情が
少しやわらいできた。
話す声が、
少し軽くなってきた。
そんな変化が見えても、
すぐに、
「じゃあ、勉強もできるね。」
と次へ進まなくても
いいと思います。
せっかく生まれた
「少しラク」を、
まずはそのまま
大切にしてみる。
私は、
そんな時間も必要だと
思っています。
すると、
勉強とは関係のないところで、
小さな動きが
出てくることがあります。
自分から冷蔵庫を開けて、
何か食べるものを探す。
久しぶりに、
好きだったことを
少しやってみる。
家族の話に入ってきて、
一緒に笑う。
「ちょっと外へ行ってくる。」
そんな言葉が
出てくることもあります。
一つ一つは、
とても普通のことです。
元気な時なら、
気にも留めないことかも
しれません。
でも、
しんどそうな時間が
続いていた子どもにとっては、
こうした何気ない行動も、
大切な変化になることがあります。
そして、
そんな日常の動きの中に、
ある日、
教材を手に取る。
「これ、やってみようかな。」
と口にする。
そんな学びへの動きが
混じり始めることがあります。
ここで私は、
学習だけを特別なものとして
切り離さないようにしています。
笑えること。
話せること。
好きなことをすること。
少し外へ目が向くこと。
そして、
ちょっと勉強してみること。
どれも、その子の毎日の中にある
一つの動きです。
今回のシリーズ〔変化編〕で見てきたように、
子どもの変化は、
大きな成果から
始まるとは限りません。
始められた。
戻ってこられた。
自分から動いた。
親子の会話が少し増えた。
そして、
「今日は、ちょっとラク。」
そんな一言も、
その流れの中にある
大切な変化だと思います。
成績が変わるより前に、
その子の毎日が
少し過ごしやすくなってくる。
私はまず、
そんな小さな変化を
大切に見ていきたいと思っています。