「続かなかった」を、失敗にしなくても大丈夫です
(前編)
お母さんへ。
「勉強が続かないんです。」
昨日はできたのに、
今日はやらない。
机に向かったと思ったら、
少しすると離れてしまう。
せっかく始めたのに、
何日かすると止まってしまう。
そんな姿を見ていると、
「やっぱり続かないのかな。」
「また元に戻ったのかな。」
と心配になることも
あると思います。
でも私は、
子どもが一度止まった時に、
すぐに「できなくなった」とは
考えないようにしています。
ある日、
途中まで使った教材が
机の上に残っていました。
きれいに片づいている
わけではありません。
ノートも途中まで。
鉛筆もそのまま。
いかにも、
「途中でやめました。」
という机です。
ところが、
しばらくすると、
その子がまたやってきて、
何も言わずに
続きを始めました。
長い時間ではありません。
少しやって、
また離れていきました。
私はその姿を見て、
「続かなかった。」
とは思いませんでした。
「戻ってきたな。」
と思ったのです。
私たち大人は、
何かを始めたら、
毎日続ける。
決めたところまでやる。
途中でやめない。
そんな姿を「続ける力」として
考えがちです。
もちろん、それも
大切な力です。
でも考えてみれば、
大人だって、
毎日同じ調子で
動けるわけではありません。
今日はたくさんできた。
でも明日は、
少ししかできなかった。
疲れて休んだあと、
また続きを
始めることもあります。
それでも私たちは、
それまでやってきたことが
全部なくなったとは考えません。
子どもも同じなのだと思います。
子どもが何かを始める時には、
毎日同じ調子で
進めるとは限りません。
疲れる日もあります。
気が乗らない日もあります。
ほかのことを
したくなる日もあります。
そんな時、
止まったことを
失敗にしなくてもいい。
少し離れて、
できそうになったら
また戻ってくる。
その経験も、
一つの「続け方」なのだと
私は思っています。
戻るたびに、「もう一度始める」が少し上手になります
(後編)
お母さんへ。
一度止まった子どもが
また戻ってきた時、
よく見ていると、前回とは
少し違うことがあります。
最初は、
「これ、どうするんやった?」
と聞いていたのに、
次は自分でページを探している。
以前は、
「やろうか。」
と声をかけるまで
動かなかったのに、
今日は自分から
教材に触れている。
ほんの小さな違いです。
でも、
こうしたところにも
変化は現れます。
つまり、
同じところへ
戻っているように見えても、
まったく同じ自分に
戻っているわけではないのです。
一度やったことを覚えている。
前にできた感覚が残っている。
「ここから始めればいい。」
ということが
少し分かっている。
だから、
戻るまでに必要だった力が、
以前より少なくて
済むようになることがあります。
私はこれも、
子どもの大切な成長だと
思っています。
毎日途切れずに
続けられることだけを、
成長の基準にしなくても
いいのではないでしょうか。
一週間空いても、
「そうそう、これやった。」
と戻ってこられた。
途中で嫌になっても、
しばらくすると、
「もう一回やる。」
と言えた。
そんな経験を重ねるうちに、
子どもの中には、
「止まっても、また始めればいい。」
という感覚が
少しずつ残っていきます。
これは学習だけの話では
ないと思います。
新しいことを始めても、
思うようにいかないことは
これから何度もあります。
疲れて止まることもある。
うまくいかなくて、
離れたくなることもある。
そんな時に、
「もうダメだ。」
で終わるのではなく、
「また、ここからやろう。」
と戻ってこられる。
私は、
そんな力も子どもたちに
育ってほしいと思っています。
止まった日は、
失敗した日ではありません。
そのあとに、
また戻れる日が
やってくるかもしれません。
そして戻るたびに、
子どもは少しずつ、
「自分なりの続け方」を
見つけていくのだと思います。