初めての仕事が、子どもの新しい一面を引き出すことがあります
(前編)
お母さんへ。
高校生くらいになると、
「この子は、
これから社会に出て
やっていけるのだろうか。」
そんな心配が、
ふと心に浮かぶことは
ありませんか。
人との会話が
あまり得意ではない。
新しい場所では
緊張してしまう。
自分から何かを始めるまでに、
少し時間がかかる。
学校生活だけを見ていると、
どうしても、
そんなところが
気になることがあります。
でも私は、高校生までに
見えていた姿だけが、
その子のすべてではないと
思っています。
学校とは違う場所に出た時、
それまで見えなかった力が、
ふっと表に出てくることが
あるからです。
例えば、初めての
アルバイト。
そこには、
テストの点数も
ありません。
代わりに、
挨拶をする。
頼まれたことをする。
分からなければ尋ねる。
一つ終わったら、
次の仕事へ進む。
そして、
「ありがとう。」
と言ってもらう。
そんな小さな経験があります。
最初は緊張して、
何度も確認することが
あるかもしれません。
うまく話せない日も
あるでしょう。
それでも、
一つ仕事ができた。
今日も時間まで働けた。
昨日より少し、
人と話せた。
そんな経験が積み重なると、
子どもの表情が少しずつ
変わっていくことがあります。
それは、
「自分にもできた。」という、
学校の成績とは
少し違う自信です。
そして不思議なことに、
仕事そのものだけではなく、
人との関わり方まで
少しずつ
広がっていくことがあります。
だから、
今、学校の中であまり
自信を持てていなくても、
焦らなくて大丈夫です。
まだ、その子の
力が生きる場所に
出会っていないだけ
なのかもしれません。
高校生は、
完成した姿
ではありません。
これから新しい場所へ出て、
新しい人と出会い、
自分でも知らなかった
自分を見つけていく時期
でもあります。
後編では、
仕事の中で感じる
「自分が誰かの役に立った。」
という経験について
お話しします。
「誰かの役に立てた」が、社会へ向かう自信につながります
(後編)
お母さんへ。
前編では、
学校とは違う場所に出た時、
それまで見えなかった
子どもの力が、
少しずつ表に出てくることが
あるというお話をしました。
仕事には、
学校とは少し違う
大切な経験があります。
それは、
自分がしたことに対して、
誰かから直接、
「ありがとう。」
と言ってもらえることです。
頼まれた仕事をする。
一つの作業を終える。
困っている人を少し手伝う。
その結果、
誰かが助かる。
これはお子さまにとって、
新しい経験になることがあります。
「自分にも、
できることがある。」
そんな感覚が、少しずつ
心の中に
生まれてくることがあります。
すると、
最初は
言われたことだけを
していた子が、
「次は何をしたらいいですか。」
と尋ねるようになる。
挨拶の声が、
少し大きくなる。
人と話すことへの緊張が、
少しずつ小さくなる。
そんな変化が
生まれることもあります。
私は、
こうした変化を
とても大切にしています。
自信とは、
「私は何でもできる。」
と思うこと
ではありません。
むしろ、
「分からなくても聞けばいい。」
「失敗しても、
もう一度やってみればいい。」
「自分にもできることがある。」
そんな小さな
実感の積み重ねが、
自信になっていくのだと思います。
高校を卒業したあとには、
大学や専門学校、
アルバイトや仕事など、
学校とは違う世界が
待っています。
そこで初めて、
自分に合う人や場所、
夢中になれることに
出会う子もいます。
高校生までの姿だけを見て、
その子の未来を
決めなくて大丈夫です。
今はまだ、
自分の力をうまく
言葉にできなくてもいい。
人との関わりに
少し時間がかかってもいい。
これからの経験の中で、
「これならできる。」
「ここなら自分らしくいられる。」
と思える場所に
出会うことがあります。
お子さまの世界は、これから
まだまだ広がっていきます。
お子さまの中にある力が、
いつ、どんな場所で
動き始めるのかを
楽しみにしながら、
少し先まで一緒に
見ていきたいと
私は、思っています。