今回は、当院に来院された高校生野球部ピッチャーの症例をご紹介します。
患者様は約2か月前から、すねの内側(下腿内側)に痛みを感じていました。特にピッチングやランニング、トレーニング後に症状が強くなり、次第に安静時にも痛みを感じるようになっていました。
スポーツ選手のすねの内側の痛みでは、「シンスプリント(内側脛骨ストレス症候群)」がよく知られています。シンスプリントは、ランニングやジャンプなどの繰り返しによって脛骨周囲に負担がかかり発生するスポーツ障害です。しかし、同じような症状を示す疾患として疲労骨折もあり、症状だけで判断することは容易ではありません。
当院では、痛みの場所や圧痛の範囲、足関節・膝関節・股関節の動きなどを総合的に評価しました。その結果、痛みが広範囲ではなく限局した1か所に集中していたこと、症状が長期間続いていたこと、安静時にも痛みがあったことから、シンスプリントだけでなく疲労骨折の可能性も考えました。
初回は熱感も確認されたため、患部への強い刺激は避け、マイクロカレントや周辺筋への軽いアプローチを実施しました。施術後に痛みはやや軽減しましたが、大きな改善ではなかったため、より詳しい検査の必要性をお伝えしました。
その後、医療機関でMRI検査を受けていただいた結果、疲労骨折と診断されました。疲労骨折は初期段階では判断が難しいこともあり、MRIは早期発見に有用な検査の一つとされています。
今回の症例を通じて重要だと感じたのは、「スポーツによるすねの痛み=シンスプリント」と決めつけないことです。痛みが長く続く、徐々に悪化する、局所的な圧痛がある、安静時にも痛むといった場合には、疲労骨折など別の可能性も考慮する必要があります。
また、痛みを改善することだけを目的に強い施術を行うのではなく、現在の状態を正しく評価し、安全性を考えながら対応することも大切です。
スポーツをしている学生は練習量が多く、身体への負担も大きくなります。「部活だから仕方ない」「少し休めば大丈夫」と我慢せず、痛みが続く場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。適切な評価と対応が、競技復帰への近道になることもあります。