AGAは日本語で「男性型脱毛症)と呼ばれ、若禿げ、壮年性脱毛症とも呼ばれることがある。思春期以後に著名に増加する男性ホルモンの作用により、遺伝的背景を持つ男性の頭頂部から前頭部の毛が薄くなってくる状態である。
●東洋医学での脱毛症
東洋医学では「脱髪」といい、他には、
≪内経≫「髪堕」
≪諸病原候論≫「鬚髪禿落候」と「鬼舐頭候」に分け、さらに「赤禿」「白禿」の脱髪を記して鑑別の助けとしています。
●原因から考える
西洋医学では、原因として、主に男性ホルモンや遺伝とされていますので、原因からは東洋医学では判断が難しいですが、腎が関与するかなという程度かなと思います。
そもそも腎というのは、髪に関与します!
『黄帝内経』素問 五藏生成篇第十
「腎之合骨也。其栄髪也。」
(腎の合は骨なり。その栄は髪なり)。
そして、髪は血の余りであり、
『本草綱目』巻五十二
腎華在髪、髪者血之餘、血者水之類也。
(腎の華は髪にあり、髪は血の餘り、血は水の類いな
り)。
腎精は変化して血になるため、腎の状態は髪に現れ訳です。
ですので、腎が病むと腎精が不足し、血も足りなくなるため、
・髪が薄くなる
・髪が乾燥し艶がなくなる
・まだ若いのに白髪になる
などといった症状が出現します。
髪が薄くなるなんかは特にAGAっぽいですよね~
●脱毛の仕方から考える
〇M字型
ハミルトン・ノーウッド分類では、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型がM字型になります。
額の左右が後退するタイプで、AGAとしては初期段階ですが、進行することでU字型ハゲとなることがあります。
東洋医学では、
・経絡として「胃経の問題」
だいたいが胃熱の問題で髪を焼き引き起こされるため、食事の養生が必要です。
・陰血虚損
毛髪の特徴として、細くて柔らかく油状の光沢があり、頭皮に油が多い、鱗屑(ふけ)、掻痒(かゆみ)などを伴います。
陰血虚損の場合には、汗をかいたまま風にあたり、血燥によって脱毛することもあるため、汗をこまめに拭き取るなどの対策は日頃より気を付けましょう!
処置として滋補肝腎・養血祛風の選穴や漢方薬を使用します。
≪諸病原候論・鬼舐頭候≫「人に風邪頭にあり、偏虚する処あれば、すなわち髪は禿落す」
これらが額の左右が後退として現れることがあります。
〇U字型
ハミルトン・ノーウッド分類では、「Ⅱa型」「Ⅲa型」「Ⅳa型」がU字型になります。
頭頂部にかけて薄毛が目立つようになり、M字型、O型も合わせて進行することもあります。
全体的に薄毛が目立ちます。
もちろん、陰血虚損でも発生しますが、ほかには、
・気血両虚
毛髪が乾燥してつやがなく、頭部全体が脱毛してまばらになり、摩耗部の後頭などに著名となります。
治法は、大補気血で、準じた穴処、漢方薬を使用します。
・瘀血
こちらも全体的に脱毛し、ひげや眉の脱毛を伴うことがあります。
脱毛が長期間つづいて各種の治療で効果がないとき、瘀血の恐れが高く、その場合には、活血化瘀を鍼や漢方薬で行います。
〇O字型
「Ⅱ型vertex」や「Ⅲ型vertex」、「Ⅳ型」とそれ以降の型でみられます。
経絡として、肝経に関わるため、精神的因子によって進行を助長されるパターンでもあります。
●多くは陰血の問題もしくは熱であり、それに準じた養生が必要となります。