最近は手足の冷えを感じやすい季節になりました。特に手や指先が冷たくなる方が多く、夜に足先が冷えて眠れない、家事で水に手をつけると冷えるといった声もよく聞きます。今回は、冷え性について科学的に解説します。
1.「冷え」とは?
医学的には、末端冷え性は「末梢部の血流が低下し皮膚温が下がる状態」と定義されます。研究では、冷え性は女性に多く、末梢血管の収縮、自律神経の反応、基礎代謝や筋肉量の低下が関係しています。冷えを訴える人は、疲労感や肩こり、腰痛、頭痛などを伴うことも多く、血流の滞りや筋肉の緊張が背景にあると考えられています。
2.冷えのメカニズム
スウェーデンの成人約3,000人を対象とした研究によると、冷えを感じやすい人は末梢血管が収縮しやすく、交感神経優位の傾向があります。また、心理的ストレスや疲労、睡眠不足が冷えを悪化させ、女性は男性の約3倍冷えを訴えることが報告されています。筋肉量や基礎代謝の低下も影響します。
具体的なメカニズムは以下の通りです。
末梢血管の過剰収縮:寒さで血流が減り、手足の熱が逃げやすくなる。
筋肉量・代謝の低下:筋肉が少ないと熱産生が減り、末端温度の維持が困難。
ホルモン・性差:女性はエストロゲンの変動により血管拡張が不安定。
ストレス・交感神経緊張:持続的ストレスで血管収縮が続き、冷えを感じやすくなる。
これらにより、末端冷え性は単なる体質ではなく、血流・神経・代謝・心理状態が関係する複合現象です。
3.専門家のアドバイス
冷えを軽減するには「血流・熱産生・自律神経バランス」を整えることが重要です。
筋肉を動かす:ウォーキングやスクワット、足首まわしなどで血流を促す。
温熱刺激で血管を拡張:手足の温浴やヒートパックを1日10〜15分使用。
ストレス・睡眠・自律神経を整える:深呼吸やヨガ、瞑想で副交感神経を高める。
4.健康な毎日への第一歩
筋肉・血流・自律神経・心理的要因を整えることで、冷えは軽減可能です。「温める+動かす+休む」をバランスよく取り入れ、無理せず少しずつ生活に加えることが大切です。