アキレス腱炎について知っておきたいこと
歩いているときや走ったときに踵が痛むことはありませんか?
アキレス腱はふくらはぎから踵にかけて伸びており、この部分に炎症や変性が起こると「アキレス腱炎」と呼ばれます。
この症状はランナーやジャンプ動作の多い競技を行う方に見られやすい一方で、中高年の方にも起こることがあります。年齢とともに腱が変性しやすくなることや、体重増加により足への負担が大きくなることなどが背景にあります。また、近年の研究では、腱の微細な損傷が繰り返されることや修復の失敗、生活習慣なども関与すると報告されています。
アキレス腱炎の対策と研究結果
アキレス腱炎は単なる炎症にとどまらず、腱の線維化や変性を伴う場合があるとされています。治療の一つとして注目されているのが「エキセントリック運動療法(伸張性収縮運動)」です。複数の臨床研究では、数か月の継続で痛みの軽減がみられ、保存療法の選択肢の一つとして位置づけられています。手術は長期間効果が得られない場合に検討されることが多いとされています。
発症のメカニズムとしては、加齢や代謝異常による血流低下、急激な運動負荷や靴の影響によるストレスの集中、慢性的な炎症によるコラーゲン繊維の質的変化などが関与すると考えられています。
自宅でできるセルフケアの一例
運動やセルフケアは、無理のない範囲で行うことが大切です。代表的な方法としては以下が挙げられます。
段差を使ったかかと下げ運動(1日2回、15回を数セット)
ふくらはぎのストレッチ(30秒保持を複数回)
運動後のアイシングや軽いマッサージ(5〜10分程度)
ただし、痛みが強いときに過度に行うと症状が悪化することもあるため、状態に合わせて回数や強度を調整し、必要に応じて専門家に相談することが推奨されます。
まとめ
アキレス腱炎はスポーツ愛好者だけでなく、日常生活の中でも起こり得る症状です。早めに気づき、適度な運動や生活習慣の工夫を取り入れることで、予防や再発防止につながります。痛みが長引く場合は、自己判断に頼らず医療機関や専門家にご相談ください。
