変形性膝関節症を含む慢性膝痛に対しては、複数の運動療法が科学的根拠に基づき有効とされています。
① 有酸素運動(ウォーキング・サイクリング・水中運動など)
– 週3〜5回、各30〜60分、8〜12週間継続で、痛み軽減・機能やQOL向上の効果が認められています。自重や水圧を用いる水中運動も陸上同様に効果があり、関節への負担が少ない特色があります 。
– 特にサイクリングは低負荷ながら膝への潤滑・痛み軽減に有効で、骨関節炎リスクの抑制にもつながるデータがあります 。
② マインドボディ運動(太極拳・ピラティス・ヨガなど)
– 18カ所RCTを対象としたレビューでは、痛み・こわばり・機能向上において明確な効果が示され、メンタル面(抑うつなど)にも良い影響があるとされています 。
– ネットワークメタ解析では、ピラティスが全体指標で、太極拳が痛み・QOL面で上位と評価されています 。
③ 筋力トレーニング(レジスタンス運動)
– 大腿四頭筋を中心に筋力を強化することで、膝関節への負担が軽減され、痛みや機能障害の軽減が認められています 。
④ 固有感覚・バランストレーニング
– 感覚機能向上やバランス能力向上に寄与し、痛みの軽減や日常生活動作の向上にも一定の効果が確認されています 。
⑤ 混合型運動(複数の運動の組み合わせ)
– 単独の運動に比べてやや劣る傾向がありますが、継続できるプログラムとして有効です 。
実施のポイント
頻度:週3〜5回、1回30〜60分、8〜12週間継続が目安
水中運動:陸上運動と同等の効果で、関節への負荷が少ない
フォーム注意:誤った動作は逆効果。専門家による指導を推奨
痛みの自己管理:強い痛みの際は休息し、負荷は調整が必要
教育併用:運動継続・自己管理のために膝の構造や対処法の知識取得が効果的
まとめ
膝痛改善の鍵は、「目的と症状に合った運動を、無理なく継続すること」です。特に有酸素運動・マインドボディ運動・筋力トレーニングが推奨されます。痛みがある場合はフォームや頻度を調整し、必要なら専門家の支援やオンライン/水中プログラムなども活用して、継続しやすい環境を整えましょう。
