水中毒とは
「過剰な水摂取により体内溶質が急速に希釈され、その結果生じる神経系の刺激症状」と定義されています。
簡単に言うと、水分補給を行った際に水のみを過剰に摂った場合に起こる症状を指します。
多量の水分が一気に体内に取り込まれると、血中ナトリウム濃度が急激に低下するため、低ナトリウム血症の状態となり、様々な症状があらわれます。
主な症状としては、めまい、頭痛、多尿(頻尿)、下痢などがあり、重症化すると嘔吐、錯乱、意識障害、呼吸困難など生命に危険が及ぶ可能性も出てきます。
人が1日に必要な水分量は個人差はありますが約2500mlといわれています。
そのうちの1000ml程度は食事から摂取しており、体内で300mlほどが代謝されています。
よって経口から必要な水分摂取量は約1200mlだといわれています。
もちろん体格や活動量、季節や気候、病態による水分制限などを考慮する必要がありますが、1200mlは目安量として考えておくと良いでしょう。
度を越えた水分摂取をしたり、一度に多量の水分を摂ってしまうと、体内に多量の水分が入り込むので血液中のナトリウム濃度が下がってしまいます。
1日3000ml以上の水分摂取をすると、水中毒のリスクが高まるため、摂取する水分は1000~2000mlぐらいで調整するように心掛けましょう。
ではどのように水中毒を予防すればよいのでしょうか。
その方法は水分と同時に体液を調整する「電解質」を補給することです。
電解質とは主にナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、クロールが挙げられますが、これらを水分と一緒に摂取することが必要です。
発汗や排尿では、これらの電解質も放出されるため、水分補給の際に電解質も補っていけば水中毒の予防に繋がります。
よく汗をかいたら塩をなめるなどの対策がされていますが、実はこれはナトリウムの補給だけに偏り、電解質全体の補給にはなっていません。
体液バランスと同等の電解質が含まれている経口補水液を摂ったり、食塩だけでなくミネラルの豊富な野菜をしっかり食べるなどして、日頃から体液の調整をしていくことを忘れないようにしましょう。
これから夏本番を迎えます。
高温多湿なため熱中症予防にと水分を多く摂りがちになります。
その際は水分摂取と同時に、電解質補正も忘れず、正しい熱中症予防を心掛けていきましょう!
