医師が患者の症状を診て、くすりを処方すると、患者はほっとして、これで大丈夫だと思う。「とても具合が悪い」というそれまでの想念パターンが「これで治癒する」という新しい想念にとって代わられるのだ。患者が「これで治癒するぞ」と思うように手助けをすれば、治癒の反応が活動をはじめるのである。
ロバート・C・フルフォード著 「いのちの輝き」より
自然治癒力を働かせるのは“科学”ではない!
マッサージや鍼、お灸をするというのは言い換えれば、体を押したり、刺したり、焼いたり、することです。それだけを聞くと、なんだか怖い感じがしますね。なんら、からだにプラスのことはしていません。もちろん、とても微細な刺激なので害はないのですが。
「どうして治癒するのだろうか? 」今もその答えははっきりと出ていません。
「この前の施術のあと、すごく楽になった」そう患者さんから声を聞くことがあります。言われるとすごくうれしいです。しかしそこで、はたと考えます。いったいどんな施術を前回したのだろうかと。もちろんカルテをみれば、どこに、どんな施術をしたのかわかります。というのも、もう一度前回と同じように施術をするのですが、なかなか前回のようにはうまくいかないのです。最近では、それは技術的な問題というより、施術する側のわたしの体調や心理状態に左右されているのではないかと思っています。
ただうまく施術ができたときの手ごたえはわかります。筋肉のゆるみ具合と、患者さんの表情でわかります。うまく筋肉がゆるんだときは、コンニャクのように、プルンと揺れる感じがするのです。施術が終わった時の表情は、心地よい眠りから覚めたようで、顔には笑みが自然に浮かんでいます。その表情を見ているうちに、「楽になった、これで大丈夫」と患者さんに思っていただくことが大事なのではないかと思うようになりました。そう思わせることのできる施術のあとは、必ずいい結果が出ているといっても過言ではありません。
「これで大丈夫」という思いが、眠っていた自然治癒力を働かせるのでしょう。
