しゅこうてい
日本料理
千駄木駅から徒歩5分(370m)
千駄木の静かな通り沿い、「酒肴亭」という小さな和食処でしっとりとした夜を過ごしました。暖簾をくぐると、すっと落ち着く空気が漂い、木の香りがかすかに鼻をくすぐります。ご主人と女将さんの二人で営まれているらしく、ゆるやかな時間の流れの中で、穏やかなひとときが始まりました。 最初にいただいたのは、ふきのお浸し。程よい歯ごたえを残しつつ、出汁の旨みがじんわり染みたその味に、一口目から心がほどけていきました。ほろ苦さと甘さの絶妙なバランスに、思わずお酒を一献。 続いて、お造りの盛り合わせ。赤身の鮪は濃厚なのに重たくなく、噛むたびに旨みがじんわり広がり、白身はぷりっとした食感に品のある甘み。わさびを少し添えると、それぞれの鮮度がさらに際立ち、静かに味わいたくなる美味しさでした。 焼き物は、鮭の塩焼き。表面はこんがりと焼き上がり、箸を入れるとふわっとした身が現れ、噛むごとに脂の甘みとほのかな塩気が広がります。焦げ目の香ばしさがまた格別で、炊きたてのご飯が恋しくなりました。 煮物は、里芋と大根の炊き合わせ。しっかり出汁を吸った具材が、口に入れるとすっと崩れるほどやわらかく、じんわりとした温もりが身体の芯に染み入る味。箸を持つ手が自然とゆっくりになっていきます。 締めには小さなお茶漬けを。焼き魚のほぐし身が添えられ、さらさらと出汁茶をかけていただくと、ほっとする優しい味わい。食事の最後まで余韻を大切にしてくれる、そんな心遣いを感じました。 「酒肴亭」は、何か特別なことがあるわけではないけれど、だからこそしみじみと心に残る味わいがあるお店。ひと皿ひと皿に、手をかけ過ぎず、それでも丁寧に仕上げた和の優しさがありました。ふと疲れた日に、またふらりと寄りたくなるような、そんな場所です。
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