オニダル
日本料理
湯島駅から徒歩2分(89m)
湯島のビルの2階にひっそりと佇む「鬼樽(おにだる)」。外からは中の様子が見えず、扉を開ける瞬間に少しの緊張感が走りますが、入ってみるとそこはしっとりと落ち着いた空間。カウンター数席だけの小さなお店には、料理と向き合うための静かな時間が流れていました。 まず出していただいたのは、菜の花の酢味噌和え。春の訪れを感じるひと皿で、やわらかく茹でられた菜の花に、ほのかに甘い酢味噌が優しく絡んでいます。口の中にふんわりと広がる苦味と甘さが心地よく、一皿目から季節の移ろいを感じさせてくれました。 お造りは中トロ、ひらめ、ホタルイカ。中トロは舌の上でとろける脂の旨みが見事で、ひらめはしっとりとした食感に淡い甘み。ホタルイカはぷりっと弾力があり、噛むほどに海の香りと旨みが広がって、どれも日本酒とぴったり合う仕上がりでした。 焼き物にはキンキの煮付け。肉厚で脂がのった身は、箸を入れるだけでふわっと崩れ、甘辛い煮汁がしっかり染み込んでいます。濃すぎず、それでいて輪郭のはっきりした味わいは、まさに大人の和食。添えられた生姜が良いアクセントになっていました。 そして、和牛の一口ステーキ。小さめながらも噛むたびにじんわりと肉の旨みが広がり、脂の甘さと香ばしさのバランスが絶妙。塩だけのシンプルな味付けが、その魅力をさらに引き立てていました。 途中でいただいた青のりの土佐酢は、口の中を爽やかに整えてくれるリフレッシュの一皿。海苔の香りと酢の酸味が清涼感を運んでくれて、食事の流れを心地よく整えてくれます。 「鬼樽」は、料理のひとつひとつに無理のないやさしさがあり、季節の素材が穏やかに響いてくるような味わいでした。静かに、けれどしっかりと心に残る、そんなひとときを過ごせる貴重なお店です。
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