これまで、世界最古の宿といえば石川県の粟津温泉「旅館法師」(718年創業)とされていたが、ここ、慶雲館はそれよりも13年古い705年とされている。2011(平成23)年、「ギネス・ワールド・レコーズ」に「世界で最も歴史のある旅館」として登録され、正式に『ギネスブック』に掲載されている。
「世界で最も歴史のある旅館」というだけでもすごいのに、しせつのお風呂は温泉で、それも全館「源泉かけ流し」という名宿だ。
温泉の泉質はナトリウム・カルシウム—硫酸塩塩化物泉で、源泉温度は52℃。また、源泉の湧出量たるや、自然湧出400ℓ/分、掘削自噴1,630ℓ/分の計2,030ℓ/分(自家泉源の本数計6本)もある。一般浴場の湯はもちろん、客室風呂から給湯(シャワー含む)にいたるまで源泉を使用しているという贅沢さも自慢。すべて加温・加水なしの「源泉かけ流し」で、ほぼ無色透明のきれいな湯だ。
内湯は最上階にある展望浴場で石造りの「石風の湯」と檜の香りが心地よい「桧香の湯」、ほかに渓流野天風呂「白鳳の湯」のほか「展望野天風呂」があり、男女が時間を区切ってそれぞれ利用できる。また、24時間利用できる「貸切野天風呂」(予約制)も2つあり、家族でゆっくりと入浴を楽しめるのもいい。
深山幽谷にあるまさに隠し湯的な存在だが、最近は山梨県を代表する温泉宿として全国的に著名な存在に。宿泊料金は平日でも1泊2食で2万円を超える料金だが、たまには贅沢していってみたい宿だ。