落ち着いた気候の秋が終わり、暦の上では立冬(11月上旬)~立春(2月上旬)までのおよそ3か月間の冬。寒さの強いこの季節、中医学では動物はエネルギーの消費を抑えるために気血といった栄養成分を「貯める」時期とするのが養生として正しいと考えられています。ですから、冬の時期には春夏のように積極的に行動を起こすのではなく、静かに知識や栄養を蓄えることが基本とするのが良いでしょう。
冬は中医学では五臓のうち「腎」と関係性が強い時期と考えられています。腎はホルモンの分泌を中心に、人間の成長や老化に深く関与する部位として考えられています。冬は冷えにより「腎」の働きが弱まりやすくなるため、しっかりと冬の冷えから体を守らないと老化を促進してしまう事になるという教えがあります。冬の寒さは冷えの害である「寒邪 かんじゃ」と乾燥の害である「燥邪 そうじゃ」が合わさることで、特に粘膜や皮膚にダメージを与えます。風邪などの感染症が増えるのもこのせいです。
冬に働きを落としがちな「腎」を補う食材としては「黒い食材」を目安にすると良いでしょう。黒ゴマ、黒糖、黒豆、黒米、海藻類、黒キクラゲなどがこれにあたります。これらの食材に身体を温める作用の強い生姜、ニンジン、にんにく、にら、ねぎ、カボチャなどを合わせるとさらに効果的です。