こうやま
日本料理
湯島駅から徒歩2分(110m)
湯島の小道を入ったところに佇む「蛇の清」。カウンターのみのこぢんまりとした店内に一歩足を踏み入れると、空気がぴんと張り詰めていて、職人の世界に足を踏み入れたような感覚になります。 この日は「おまかせ握り」を注文しました。まず最初に出てきたのは真鯛。艶のある白身に一筋の塩とすだちが添えられており、噛むと旨味がじんわり広がり、清々しい余韻が残ります。続いては赤身。常温に戻されたマグロは舌の上でとろけるような柔らかさで、シャリとの温度差が絶妙で、職人の仕事の丁寧さが伝わってきました。 印象に残ったのは小肌。ほんのり酸味が効いた締め具合が、シャリの甘みと見事に調和し、口の中で静かにほどけていく感覚に心がほぐれました。穴子は、塩で提供されたものをいただきましたが、香ばしく焼かれた表面と、ふんわりとした中の身のコントラストが美しく、ほんのり柚子の香りが鼻に抜けて、最後まで上品な印象のままでした。 一貫一貫が丁寧に供されるので、自然と背筋が伸び、会話も少なめに“味わうこと”に集中した時間。店主は寡黙ながら、目と所作で気遣いを感じられ、寿司と向き合う真摯な姿勢に胸を打たれました。 華やかさはなくとも、芯のある美しさと静かな力強さを感じる寿司。それが「蛇の清」の魅力でした。また、あの静けさの中でひと口ずつ、職人の手から生まれる味を味わいたいと思える、そんな夜でした。
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