「走ると太ももの裏が痛い」「ダッシュ中に肉離れをした」「大会までに復帰したい」といった悩みは、陸上競技をはじめとするスポーツ選手によくみられます。
今回は、当院に来院された高校生陸上選手のハムストリングス肉離れの症例をもとに、競技復帰までの考え方をご紹介します。
ハムストリングスは太ももの裏側にある筋肉で、ダッシュやジャンプなどの動作で大きな負荷がかかります。特に短距離走や走り幅跳びなどの競技では肉離れが起こりやすく、再発しやすいことも知られています。
今回の患者様は、高校生の陸上部員で、400mと走り幅跳びに取り組んでいました。スプリント中に太ももの裏へ強い違和感を感じ、その後も走ると痛みが出る状態で来院されました。
初回の評価では、筋肉の状態や動き、痛みの出る動作などを確認しました。局所には熱感があり、筋肉を伸ばすと痛みが強くなる状態だったため、ハムストリングス肉離れが疑われました。
受傷直後は炎症が強い時期のため、無理な運動は避け、状態に合わせた施術や物理療法を中心に行いました。その後、症状の変化を確認しながら、ストレッチや運動を少しずつ取り入れていきました。
肉離れからの復帰で重要なのは、「痛みが減ったからすぐに全力で走る」のではなく、段階的に負荷を上げていくことです。研究でも、競技復帰の判断には痛みだけでなく、筋力や柔軟性、運動機能、競技動作の確認が重要とされています。
今回の症例でも、症状が落ち着いてきた段階で、股関節や足関節の動き、ダッシュフォームなども確認しました。ハムストリングスだけではなく、身体全体の使い方を確認することが再発予防につながると考えています。
経過としては、受傷後1〜2週間は運動時の痛みが残っていましたが、約3週間後には軽いダッシュが可能となり、その後も段階的に強度を上げていきました。最終的には高い強度のダッシュでも症状が出にくくなり、競技へ復帰することができました。
ハムストリングス肉離れでは、痛みの軽減だけでなく、筋力や柔軟性、股関節・足関節の動き、実際の競技動作まで確認しながら復帰を進めることが大切です。
太ももの裏の痛みや、肉離れ後の競技復帰でお悩みの方は、無理をせず現在の状態を確認しながら段階的な復帰を目指しましょう。スポーツを長く続けるためには、再発予防まで考えた身体づくりも重要です。