ポチ さん
2025-10-21
みたらしの滝そうめん流し
  • 霧島神宮駅
  • ホテル・ビジネスホテル・旅館
ポチ さん
2025-10-21

国宝霧島神宮の聖域の傍らで味わう、鹿児島の回る涼

3.50

国宝霧島神宮のほど近く、御手洗の滝の気配を感じる神聖な森の中
その店は、喧騒から切り離されたように静かに佇んでいます

​鹿児島で「そうめん流し」といえば、指宿発祥の回転式テーブルが有名です
竹を割った上を流れる「流しそうめん」とは異なり、円形のテーブルで水が巡る、あの独特の風情
こちらは、まさにその鹿児島の夏を体現した一軒と言えるでしょう

​道沿いの駐車場に車を預け、緑深き坂道をゆっくりと下っていきます
それだけで心が洗われるようなアプローチです
やがて現れるのは、森の空気と滝の気配に包まれた開放的な空間
夏場は行列が絶えないというのも頷けます

​訪れたのは10月の中旬
夏の盛りは過ぎていましたが、幸運にもお店は開いていました
伺えば、今年(令和7年)は11月いっぱいまで営業されるとのこと
この時期に、この清涼感を味わえるのは得難い体験です

​システムは、入口の受付で先に注文と会計を済ませるスタイル
今回はセットではなく、そうめんの単品(1,300円)をお願いしました
​正直に申し上げて、そうめん単品として見れば、価格は少々強気に感じられるかもしれません
しかし、これは単なる食事代ではありません
この霧島の神聖な自然、滝の音、そして回転式テーブルという体験全体を享受するための「席料」
そう解釈すれば、むしろ妥当と言えるでしょう

​セルフサービスの水を汲んでテーブルで待つ間もなく、そうめんが運ばれてきました
氷と共にザルに盛られた姿が、目にも涼やかです
​テーブルで、清らかな水がくるくると回り続けています
箸でそうめんをすくい、その流れに放ち、再びそれを捉えてつゆに浸す
この一連の所作が、日常を忘れさせ、一種の瞑想的な時間を与えてくれます
​麺は、奈良の三輪そうめんを使用されているようです
細身ながらもしっかりとしたコシがあり、冷水でキリリと締められた喉越しは格別です
​興味深かったのは、めんつゆでした
鹿児島のつゆといえば、地元特有のしっかりとした甘さが際立つものが多いですが、こちらのつゆは甘さが比較的控えめ
すっきりと、出汁の風味を感じる上品な味わいに仕立てられています
土地の標準的な味に慣れた方には少し物足りなく感じるかもしれませんが、三輪そうめんの上品な風味を引き立てる、洗練されたバランスとも言えるでしょう

​季節は秋に移ろいでいましたが、この場所だけは夏の輝きを留めているようでした
「夏の風物詩」という言葉がふさわしい、清らかなひとときです
​ごちそうさまでした

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みたらしの滝そうめん流し
  • 霧島神宮駅
  • ホテル・ビジネスホテル・旅館
ポチ さん
2025-10-18
ラーメン小金太
  • 甲東中学校前駅
  • 和食
ポチ さん
2025-10-18

天文館に輝く、鹿児島ラーメンの王道

5.00

南九州一の繁華街、天文館
​その一角に、昼夜を問わず客足の絶えない一軒のお店があります
​夜に訪れてもなお、そこには行列ができていました
メディアで広く取り上げられている証左か、地元客に混じり、観光客や海外からの訪問者の姿も多く見受けられます
この日も15分ほど並びましたが、その待ち時間が期待感を静かに高めてくれました

​店内はカウンター席と座敷席という、どこか懐かしさを覚える構成です
今回はカウンター席へと案内されました
​実はこれまでにも何度か訪れており、ここの焼豚と炒飯の美味しさは記憶に鮮明に残っています

今回も迷わず、その記憶を確かめるように「チャーシュー麺」と「半炒飯」を注文しました
​待つこと10分ほどで、注文の品が運ばれてきます

目の前に置かれたチャーシュー麺は、まさに鹿児島ラーメンの「王道」と呼ぶにふさわしい堂々とした佇まいです
​丼を覆い尽くすほどのたっぷりのチャーシュー
そしてネギ、香ばしい焦がしネギ、キクラゲが、豊かな表情を加えています
​スープは、こってりと濃厚すぎず、どちらかといえばあっさりとした洗練された口当たりです
しかし、その奥には深い旨味が満ち溢れています
飲むたびに「これぞ鹿児島ラーメンだ」と深く納得させられる、優しくも確かな滋味深さです
​麺はやや細めで、この奥深いスープを巧みに持ち上げてくれます
主役であるチャーシューも、味が芯までしっかりと染み込んでおり、期待を裏切らない美味しさです
すべての具材とスープ、麺が一体となった、非常に完成度の高い一杯と言えるでしょう

​そして、もう一方の主役である「炒飯」もまた見事な仕上がりです
卵をたっぷりと使い、強火で一気に仕上げたことが伝わるパラパラとした食感
味付けも濃すぎず薄すぎず、絶妙な塩梅です

​ラーメンのスープを一口含み、炒飯を頬張る
この繰り返しが、互いの旨味をさらに引き立て、レンゲと箸が止まらなくなります

​会計は食後にレジで行うスタイルです
​地元民から国内外の観光客まで、これほど多くの人々を引きつける理由が、この一杯と一皿には確かに存在します
天文館の喧騒の中で、変わらぬ美味しさを提供し続ける名店の力を再確認しました
​大変美味しくいただきました
ごちそうさまでした

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ラーメン小金太
  • 甲東中学校前駅
  • 和食
ポチ さん
2025-10-17
串幸
  • 市役所前駅(鹿児島)
  • 焼き鳥
ポチ さん
2025-10-17

​名山堀の灯、郷土の滋味に心ほどける夜

4.50

鹿児島市役所にほど近い、時の流れが作り出したレトロな街「名山堀」
昼間の活気ある姿も良いですが、地元民が愛するのは陽が落ちてからのこの街の表情です
暖かい光を灯す店々が、まるで訪問者を優しく誘うかのように路地に点在し、喧騒は去り、ゆったりとした時間が支配します
​そんな名山堀の夜、以前から気になっていた一軒の暖簾をくぐりました

メディアでもしばしばその名を目にする人気店『串幸』さんです
​引き戸を開けると、外のノスタルジックな雰囲気とは少し趣の異なる、明るく清潔感のある空間が広がっていました
店内は比較的新しい感じで、老舗の風格と現代的な快適さが見事に共存しています
先客で賑わうカウンターではなく、ゆっくり背をもたれることが出来るテーブルに腰を下ろし、今宵の美食への期待に胸を膨らませます

​メニューもいろいろです
酒肴の定番から、この地ならではの食材を活かした郷土の味まで、鹿児島の食の豊かさを物語っています
この日は車での訪問だったため、残念ながらアルコールの杯を重ねることは叶いませんでしたが、その分、料理への集中力は一層高まります
​まずお願いしたのは、鹿児島の夜に欠かせないキビナゴの刺身
銀色に輝くその姿は、まるで錦江湾の月光をそのまま皿に写したかのよう
酢味噌をほんの少しだけつけて口に運べば、繊細で清らかな甘みがすっと溶けていきます

​続いて、鰹の腹皮の炙り
ぱちぱちと音を立てながら炙られた皮目の香ばしさが、まず鼻腔をくすぐります
一口頬張れば、凝縮された鰹の旨味と、上質でしつこさのない脂がじゅわりと広がり、思わず吐息が漏れるほどの美味しさです
これぞ、鹿児島の食文化の奥深さを感じさせる逸品と言えるでしょう

​注文は口頭でも紙に書いても受け付けてくれる柔軟さがありながら、厨房ではタブレットでオーダーを管理しているという現代的な一面も垣間見え、この店の持つ新旧のバランス感覚を象徴しているように感じました
​どの皿も丁寧に作られており、店主の誠実な仕事ぶりが伝わってきます

『串幸』という一軒の店を通して、名山堀という街が持つ懐の深さに改めて触れた夜でした
​この魅力的な路地には、まだ見ぬ感動が数多く眠っているはずです
次回はどの店の扉を開けようか、そんな楽しみを胸に、心地よい満腹感と共に店を後にしました
ごちそうさまでした

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串幸
  • 市役所前駅(鹿児島)
  • 焼き鳥
ポチ さん
2025-10-02
サーティワンアイスクリーム
  • 都城駅
  • スイーツ
ポチ さん
2025-10-02

キャラメルナッティが主役、贅沢な午後のひととき

3.00

暦の上では秋だというのに、肌を焼くような日差しが続く10月のある日
ひんやりとした誘惑に抗えず、久しぶりにサーティワンのアイスクリームケーキを食べたいと思い立ちました
​事前にネットで予約を済ませていたため、店舗での受け取りは実にスムーズです

スタッフの方に名前を告げると、準備を待つ間にどうぞと、スプーンに載せられた新製品を差し出してくれました
こうした細やかな心遣いが、心を和ませてくれます

​今回私が選んだのは「キャラメルナッティケーキ」
丁寧に梱包された箱を受け取る際、ドライアイスの扱いについて丁寧な説明を受け、その配慮に店の質の高さを感じました
​さて、自宅に持ち帰り箱を開けると、愛らしいデコレーションのケーキがお目見えです
正直なところ、価格から想像していたよりは少し小ぶりな印象でした
ナイフを入れてみると、予期せぬ発見がありました
土台の部分はアイスクリームではなく、ケーキ生地でした
全てがアイスクリームだと思っていたので、これは少し意外な驚きでした

​一口含むと、まず主役であるキャラメルのほろ苦い甘さが、ナッツの香ばしい食感とともに口いっぱいに広がります
濃厚なキャラメルの風味とカリッとしたナッツの歯触りが心地よいコントラストを生み出していました
アイスクリーム自体は比較的さっぱりとした味わいで、キャラメルとナッツの風味を静かに引き立てる名脇役といったところです

​ただ、全国的に展開する他のチェーン店の同種の商品と比べると、サイズ感については少し物足りなさを感じるかもしれません
オールアイスクリームの満足感を期待する方や、コストパフォーマンスを重視する方には、少し違う選択肢もあるように思います
​とはいえ、キャラメルの風味を主軸に置いたこの構成は、一つの完成されたデザートとして魅力的です

期待とは少し違う側面もありましたが、それもまた食の探求の面白さ
これはこれで一つの個性として、記憶に残る一品となりました

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サーティワンアイスクリーム
  • 都城駅
  • スイーツ
ポチ さん
2025-09-30
いちにいさん 天文館店
  • 天文館通駅
  • しゃぶしゃぶ
ポチ さん
2025-09-30

​王道かつ丼に宿る黒豚の魂と、白熊の変わらぬ衝撃

4.00

験担ぎの日に選ぶ食事には、自ずと力が宿るものを求めるものです
今回足を運んだのは、鹿児島の食文化を牽引するフェニックスグループの一角、「いちにっさん」
同系列のそば茶屋と同じビルに暖簾を掲げるこの店で、目的はもちろん「黒豚のロースかつ丼」です

​扉を開けると、そこは国際的な活気に満ちた空間でした
飛び交うインバウンドの異国の言葉、その熱気は今の日本の食が世界からいかに注目されているかを物語っているかのようです

テーブル席へと案内され、早速目当てのかつ丼と、食後の楽しみに小さな白熊「こぐま」を注文しました
​待つことしばし、盆に乗せられてやってきたかつ丼は、一つの完成された逸品でした

厚く切られた黒豚のカツを優しく覆う、黄金色に輝く玉子
その下には飴色に透き通る玉ねぎが覗き、ご飯の一粒一粒には秘伝のタレが艶やかに染み込んでいます
​まず、主役であるカツを一口
驚くほど厚いのに、歯切れは柔らかく、衣は出汁を吸ってもなお心地よい食感を残しています
噛みしめると、黒豚特有の上品な甘味と力強い旨味がじゅわりと溢れ出すのです
普通の豚とは一線を画す、黒豚特有の融点の低い脂が舌の上でなめらかに溶けていく感覚は、まさに官能的としか言いようがありません
脂身でありながら、少しも重さを感じさせない軽やかさ、これぞ黒豚特有の真骨頂でしょう
​そして、この一杯の完成度を決定づけているのが、全体をまとめ上げる掛けつゆです
そば茶屋の系列店であることから、その出汁の質の高さは想像に難くありません
鰹節や昆布の風味が豊かに香り立つこのつゆが、カツの旨味、玉子の甘味、そしてご飯の甘味を見事に調和させています
​脇を固める赤だしも、実に心憎い演出です
甘い麦味噌文化が根付くこの地で供される赤だしは、それだけで新鮮な驚きがあります
かつ丼の甘く優しい味わいに対し、きりりとした塩味と深いコクが鮮やかな対比を描き、一口ごとに味覚をリセットしてくれます

​食後にいただいた「こぐま」もまた、期待を裏切らない一品でした
小ぶりなサイズながら、色とりどりのフルーツが惜しげもなく飾られています
そして特筆すべきは、氷を掘り進めた先、その中心の底に潜む餡と煮豆の存在です
このささやかな驚きが、一杯のかき氷に特別な物語を与えています
かつて東京の店舗で人々を熱狂させたという白熊のインパクトは、今なお健在でした

​国際的な賑わいの中でいただく、鹿児島の誇りが詰まった一杯
それは、単なる食事ではなく、この地の豊かさと、日本の食の現在地を体感する貴重な経験となりました
美味しかったです

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いちにいさん 天文館店
  • 天文館通駅
  • しゃぶしゃぶ