口コミ
東中野の路地裏にひっそりと佇む「五月」は、昔ながらの風情ある佇まいに心惹かれていたお店です。勇気を振り絞ってその生成り色の暖簾をくぐると、まるで時空を超えた別世界が広がっていました。
凛とした雰囲気の母娘と思しきおねえさん方が切り盛りする店内は、6席のカウンターのみの落ち着いた空間でした。娘さんの上品な身のこなしは、まさに芸妓さんのようでした。
そんな娘さんが茹でた稲庭うどんは、「かんざし」と呼ばれる三味線のバチのような形が残る逸品でした。母娘そろって呼吸の良さで、つけ汁や薬味を用意してくれます。冷たいつけ汁に浮かべた浅葱、みょうが、大葉の香り立つ日本のハーブに、節の旨味たっぷりのうどんを浸して味わうと、心地よい喉越しにうっとりです。変化に富む食感も絶品の味わいを一層豊かにしてくれました。
思わず「これは美味しい!」と呟いた私に、粋なお姉さん方も微笑みを返してくれました。寒天を黒蜜であっさりと味わう涼やかなデザートの豆かんもさくっと完食できました。食欲が湧かない真夏の昼食には、この上なくおすすめの逸品でした。
夜は基本的に予約制で、ゆっくり極上の料理を堪能できるそうです。次は是非夜の部にも挑戦してみたいと思いました。東中野の粋な雰囲気と本格稲庭うどんに魅了され、忘れられない体験となりました。
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