集中力が続かない。
そんなお子さまの心を、
「サイコロ」と「音読」で
やさしく整える方法があります。
学ぶ力は、
頭だけでなく
心の筋肉にも宿ります。
数字と声のリズムが、
目に見えない成長を
内面からしっかり育てます。
子どもたちは、
頭で考えるよりも
ずっと多くの
[心の力]を使っています。
集中しているように
見える時間ほど、
内側では
想像力や感情が動いています。
そのため、
表面的な疲れの裏には、
大きな成長の兆しが
隠れていることもあります。
新しいことを覚えるとき、
脳は
「今ある、思考の枠」を
少し広げようとします。
このとき使われているのは、
頭だけではなく
［心のエネルギー］です。
たとえば、私のオフィスでは
「サイコロ暗算（松永式）」
を行っています。
数字を10のかたまりに分けたり、
２個・３個・５個の
サイコロを使って、
足し算やかけ算などの
組み合わせを考えます。
最初は「難しい」と
眉をひそめていた子も、
やがて
自分の中に
「わかった！」という
小さな光がともります。
この瞬間に、
心は確かに
強くなっていきます。
一見、単純な
暗算練習に見えますが、
実はこの過程で
子どもたちは
［数を立体的に見る力］を
育てています。
２行先しか
見通せなかった思考が、
５行、８行へと
広がっていく。
まるで、
平面の世界が
立体に変わるように、
「見える範囲」が
広がっていくのです。
この力は、
数学だけでなく、
国語の読解にも、
英語のリスニングにも
通じています。
つまり、
「考える筋力」を鍛えること。
これこそが、私たちが
大切にしている
［心の筋トレ］です。
サイコロを転がす手の動きには、
集中と緩和の
リズムがあります。
頭の中で数を分解し、
再び組み立てる。
それはまるで、
心の中で
深呼吸をしているような時間です。
勉強というよりも、
心を整えるトレーニング。
子どもたちは
この過程で、
「できた！」という
小さな達成感を
積み重ねていきます。
この小さな積み重ねが、
やがて
大きな自信へと
変わっていきます。
「昨日より少しできた！」
その実感こそが、
子どもたちを
次の学びへ導く力になります。
実は、音読の中でも
同じことが起こります。
新しい文章に出会ったとき、
子どもたちは
まず音を聴き、頭の中に
[映像]を描こうとします。
これは
「音から学ぶ → 心で描く → 文字で確認する」
という、
思考の自然な流れ。
まさに、
暗算と同じ
構造を持っています。
ある男の子は、最初こそ
目を閉じて
黙って聴くだけでした。
けれど、何度か
繰り返すうちに、
頭の中で情景が浮かび、
そのイメージを
声に変えて
読むことが
できるようになりました。
この
[目を閉じて学ぶ時間]は、
心の中を整理する
トレーニングでもあります。
音と文字が
つながるたびに、
思考の中に
秩序が生まれ、
やがて
言葉が心を整え、
心が、さらに
言葉を育てていく。
お母さんが
そっと隣で
聴いてあげるだけでも、
その効果は驚くほど
大きいものです。
お子さまは
「聴いてもらえている」という
安心の中で、
さらに
深く音を味わい、
自分の言葉で
世界を語ろうとします。
学びは、決して
ひとりきりの作業
ではありません。
信じて待つ人が
いることで、
言葉も心も
ゆっくりと
芽を出していくのです。
勉強とは、
単に「覚えること」
ではなく、
「自分の中に世界をつくること」。
その世界が少しずつ
広がっていく過程を、
お母さんは
どうか焦らず
見守ってあげてください。
今日もひとつの
サイコロを転がすように、
そして一行の音読を
積み重ねるように。
静かな努力の中で、
お子さんの心は
確実に育っています。
焦らず、比べず、信じて待つ。
その温かい
まなざしこそが、
お子さんの
「心の筋トレ」を支える
最高の力です。
何より大切なのは、
「できる・できない」ではなく、
[挑戦し続けている]
という事実を
認めてあげることです。
お子さまは、
自分を信じて
見守ってくれる人が
いてくれるだけで、
グッと成長します。
小さな一歩の積み重ねは、
やがて
大きな変化へと
つながります。
今日もまた、
学びという名の
静かな奇跡が、
お子さまの中で
確かに起こっているのです。
