お母さんへ。
「発達グレーゾーンかもしれません」と
医師から
言われたときの気持ち、、、私は、
少しだけ想像がつきます。
言われた瞬間、足元が
グラグラゆれるような感覚だった
かもしれません。
頭の中が、
真っ白になって、そのあとは、
どんな言葉を聞いても
心に入ってこなかった状況
だったと思います。
「うちの子、大丈夫なんだろうか」
「これから何をすればいいの?」
「他の子と同じように
育てようとしていたけど、
それでよかったの?」
そんな思いが、波のように
次々と押し寄せて、
でも
誰に
どう相談したらいいのかも
わからない・・・
そんな戸惑いと孤独が、
今も胸の奥に
残っているかもしれません。
あるお母さんは、
次のように
お話しくださいました。
「診断結果を告げられたとき、
椅子からズルズルと
すべり落ちそうな気持ちでした」と。
ご兄弟おふたりとも、
幼稚園の頃に
WISCテストの結果から
グレーゾーンと言われたため、
お母さんは、将来への
不安と向き合いながら、
懸命に育ててこられたそうです。
けれど、そのご兄弟は、
ある時
芸術活動と出会いました。
絵を描いたり、
音にふれたり、、、、
言葉では、うまく
伝えられなかった想いを、
色や音で
表現できる時間を過ごすうちに、
少しずつ、
自信を取り戻していったのです。
やがて、彼らは無事に
高校へ進学し、
大学へ進み、
今では社会の中で、
自分の道を歩いています。
お母さんのそばで、ずっと
見守ってきたお祖母さんが、
涙ぐみながら
心配されていた日々も、
いま思えば、すべてが
「未来へつながる時間」と感じます。
だからこそ、私は
お伝えしたいのです。
どうか、今の不安に
飲み込まれないでください。
今はまだ見えていないだけで、
ちゃんと、
「将来の芽」は
息づいています。
私はこれまで、
多くの子どもたちと
関わってきました。
その中で、
「この子には無理かもしれない」
と思ったことは、
一度もありませんでした。
どの子にも、ちゃんと
「将来の芽」があるからです。
それは、まだ目に
見えにくいかもしれません。

周りの子と比べると、
どうしても
遅れているように
感じてしまうこともあります。
でも、よくよく見ると、
「この子なりの関心の芽」
「表現の芽」
「感じる芽」
このような「小さな芽」が、
そこにあります。
子どもは、
不安の中では
芽を出せません。
けれど、安心の中では、
時間がかかっても、
必ず伸びようとします。
私のオフィスに通っていた
小学1年生の男の子。
最初はことばが出ず、
音読もままならず、
文字を前にすると
固まってしまいました。
でもある日、
小さな声で言ったのです。
「もう一回、読んでいい?」
それは、ほんとうに、
かすかな声でした。
けれど、その一言に
大きな意味がありました。
その瞬間、
お母さんの目から
涙があふれました。
テストでは測れない、
「自分から動きたい」
という気持ちが
芽生えた瞬間でした。
焦らなくて大丈夫です。
「今すぐにできること」
を探すより、
「安心できる場所」を
一緒に見つけてあげるほうが、
ずっと大切です。
今は、
「できる・できない」で測る時期
ではありません。
「この子が、
どこで、どんなふうに
安心して笑えるか」
それを静かに
見つけていく時です。
その時間は決してムダには
なりません。
お子さまの中で
芽吹いた「ことば」は、
人生を支える「根」になります。
どうかひとりで
抱えこまないでください。
お母さんの「心の涙」は、
ちゃんと伝わっています。
お母さんが
そばにいてくれること、
信じて見守ってくれること。
それこそが、
この子にとって
一番の安心であり、
未来への栄養になるのです。
お母さん、よろしければ、
お子さまと一緒に、
遊びにいらしてください。
ここには、
あせらず、比べず、
ゆっくりと
「芽を見守る時間」が
ありますから。
そっと見守り続けている
お祖母さんがいらっしゃれば、
どうかお伝えください。
その優しいまなざしと、
溢れるような愛情が、
きっと、お母さんの背中を、
今日まで何度も
支え続けてきたことを。
次回は、もう少し具体的に
ご家族全体のサポートについて、
お話し致します。
ゆっくりで大丈夫です。
お子さまの芽は、ちゃんと
育っていますから。
