お母さん、日々
お子さまを見守りながら
「どうして
聞き取りにくそうに
しているのだろう」
と思われることは
ありませんか。
耳そのものには
聞こえ方に問題がなくても、
音を脳で処理する過程に
特性があるために、
聞き取りに困難を
感じることがあります。
これを
「聴覚情報処理障害(APD)」
と呼びます。
周囲の雑音に
声が埋もれてしまったり、
指示を一度で理解することが
難しい場合もあります。
また、
疲れているときや
環境が騒がしいときには、
聞き取りにくさが
さらに強まり、
「聞く気がないのでは?」
と誤解されることも
少なくありません。
そこで、
日常生活や学校生活の中で
「集中できない」
「わかっていない」
と思われてしまい、
誤解を受けやすいのです。
お母さんが
その背景を
理解しているだけでも、
お子さまの心は
すごく軽くなります。
大切なことは、
できる限り
【静かな空間】を
整えることです。
家の中では
テレビやラジオの
音量を下げたり、
家電の音が
少ない場所を選んで
会話をするだけでも、
ぐっと聞きやすくなります。
雑音が減ることで、
言葉がクリアに
届きやすくなり、
お子さまのストレスも
和らぎます。
ほんの少しの工夫が
「ちゃんと聞こえる」
という安心感を生み、
会話に前向きに参加できる
きっかけをつくります。
次に
意識していただきたいのは
【コミュニケーションの姿勢】です。
お子さまと話すときは、
真正面から
目を合わせてください。
表情や唇の動きは
大切な情報源になります。
静かな場所で
一対一で話すと
集中しやすくなり、
「伝わった」
「わかってもらえた」
という実感が生まれます。
でも、
大げさに構える必要は
ありません。
いつもより少し
ゆっくり、
はっきり
話すだけで十分です。
その小さな工夫が、
「自分は理解できる」という
お子さまの自信につながり、
日常の会話をもっと
温かいものにしてくれます。
【視覚的なサポート】を取り入れると
理解がさらに
確実になります。
口頭での説明だけでなく、
予定やルールを
紙に書いて
壁に貼っておく、
簡単な絵や
色分けを加えるなど、
視覚的に確認できる
仕組みをつくりましょう。
「明日は習い事があるよ」と
口で言うだけでは
忘れてしまっても、
カレンダーに印があると
安心して準備ができます。
【聴覚を助ける道具】も
活用できます。
最近では、
ノイズキャンセリング機能のある
手頃なヘッドフォンも
販売されています。
学校や外出先で
雑音が多いときに
活用することで、
必要な音だけに
集中できることがあります。
もちろん、
すべての場面で使う
必要はありません。
大切なのは
「ここなら安心して聞ける」
と思える場面を
少しでも
増やしてあげることです。
もう一つ意識したいのは、
【一貫性と予測可能性】です。
急な変化が多いと
不安になりやすいため、
生活の流れをできるだけ
一定にし、
予定を前もって
伝えてあげてください。
「次はこれをするよ」と
声をかけるだけで
見通しが立ち、
落ち着いて過ごせます。
予定表やタイマーを使うのも
効果的です。
こうした工夫を取り入れることで、
APDを抱えるお子さまは
「聞こえない不安」から
少しずつ解放されます。
そして、安心して
学びや遊びに
取り組めるようになります。
すぐにうまくいく
わけではありませんが、
一つひとつの工夫が
積み重なることで、
確かな変化が訪れます。
お母さんとしては
「私の対応で本当に
役に立っているのだろうか」
と迷うこともあるでしょう。
でも、お子さまは、
お母さんが工夫して
寄り添ってくれる
気持ちから
大きな安心を
受け取っています。
その安心感が、次の一歩を
踏み出す勇気につながります。
どうか焦らずに、
お子さまのペースに
合わせて試してください。
小さな工夫の積み重ねが、
大きな自信と成長を
生み出します。
お母さんとお子さまの日常が、
少しでも穏やかで
心地よいものになるよう、
願っています。
スタディ・コーチング・ラボラトリー
福田秀一