お子さまが
「聴き取り困難症」や
「聴覚情報処理障害(APD)」
と診断されたとき、
不安や心配で一杯でしたね。
「どうすれば支えてあげられるのだろう」
「学校生活は大丈夫だろうか」
と思いを巡らせて、
眠れない夜も
あったのでは?
けれども、
この診断はゴールではなく、
新しい理解と
サポートの始まりです。
聴き取り困難症は、
耳そのものは
正常です。でも、
音を脳で処理する
過程に特性があるため、
周囲の雑音の中で
言葉が埋もれたり、
指示を一度で理解
できなかったりします。
聞いていないわけでもなく、
理解できないわけ
でもありません。
「聞き取ること自体に
負担がかかる」
という状態なのです。
そのため、
集中していないと見られたり、
努力していないと思われたりして
多くの誤解を受けます。
まずは
「子どものせいではない」
ということを、大人が
理解してください。
お母さんに
できることのひとつは、
家庭での環境づくりです。
テレビやラジオの
音を少し下げる、
家電の音が少ない場所で
会話をする。
それだけで、お子さまには
大きな救いとなります。
会話のときには、
正面から目を合わせて、
ゆっくり、ハッキリ
話してください。
お母さんの表情や
唇の動きは、
お子さまにとって
大切な手がかりです。
「伝わった」
「わかってもらえた」
という実感は、
安心感と自信に
つながります。
学校生活では、
先生や支援スタッフとの
連携が欠かせません。
個別の学習計画を相談したり、
授業の中での配慮は、
言語聴覚士や
特別支援教育の専門家に
お願いしましょう。
最近は、
FMシステムのように
先生の声を直接
届ける機器もありますが、
「自分だけ特別扱いされている」
と感じてしまう子もいます。
ここで大切なのは、
道具より
「安心して学べる場がある」
という実感です。
必要に応じて取り入れ、
お子さまの気持ちに
寄り添ってください。
診断を受けたその日から、
お母さんの支えは
始まっています。
どうか焦らず、一歩ずつ
歩んでください。
また、家庭での会話を
少し工夫するだけでも、
お子さまは
ずいぶん楽になります。
「今日は楽しかった?」
ではなく、
「今日は図書室に行った?」
といった質問。
つまり、
「はい・いいえ」で
答えられる質問を
増やすと
お子さまは、
答えやすいのです。
小さな工夫ですが、
「自分も会話に参加できる」
と感じられることが、
子どもにとっては
大きな励みになります。
さらに、
お母さん自身が
聴き取り困難について
正しく理解することです。
「この子はどうして
できないのだろう」
と悩む気持ちから、
もっと深く理解できた時・・・
「そうか、この子は
こういう特性を持っているんだ」
と納得できたとき、
お母さんの表情や
声かけが自然に
柔らかくなります。
その安心感は、
お子さまの心を軽くし、
「自分は大丈夫」
という気持ちを育てます。
忘れないで頂きたいのは、
聴き取り困難症の診断は
「これからの成長の為の
スタートライン」だ
ということです。
適切な支援を受ければ、
大きく改善したり、
自分に合った方法を見つけて
生活に適応できる子どもは
たくさんいます。
お母さんが焦らず、
一歩一歩
寄り添っていくことが
非常に大切です。
私のセッションでも、
音読を通じて
子どもたちの自信が
育っています。
1対1で、私と
安心して取り組む時間は、
聴く力だけでなく、
言葉の理解や
表現の力も育てます。
お母さんと一緒に
楽しめる活動は、
学び続ける原動力です。
「お母さんと一緒なら頑張れる」
という気持ちは、
お子さまの心を
大きく支えます。
お母さんの理解と
温かなまなざしが、
大きなサポートです。
診断を受けたその瞬間から、
すでにお母さんの
サポートは始まっています。
どうか一人で抱え込まず、
少しずつ環境を整えながら、
お子さまと一緒に
前進してください。
その歩みの中で、子どもは
確実に成長していきます。
そしてお母さんもまた、
「この子はきっと大丈夫」
という確信を
深めて行けます。