「学校では声が出せなくて……」
「家では普通に話すのに、外では
急に黙ってしまうんです」
そう感じているお母さんも沢山います。
控えめなお子さまや、
場面緘黙のように
特定の場面で
声が出にくいお子さまは、
怠けているわけでも、
やる気がないわけでもありません。
「声を出したいけれど出せない」
という心の中の葛藤と
闘っているのです。
本人だけの不安や緊張があり、
「言葉が詰まる」というかたちで
表れるのです。
「では、どうすればいいの?」と
不安になるお気持ち、
分かります。
でも、
声を取り戻すことは
特別な訓練だけでなく、
日常の小さな工夫から
始めることができます。
無理させるのではなく、
少しずつ「声を出せた」という
体験を積み重ねることで、
それが自信になります。
たとえば、
宿題の文章を前にして
固まったとき。
最初の一文だけを
お母さんが
声に出して読んでください。
「今日はここから始めようか」
と声をかけると、
お子さまは
「自分にもできそう」と感じ、
続きを読もうとする
気持ちが芽生えます。
一緒にスタートすることが
安心感につながります。
問題集の解説を
お母さんが読むのも効果的です。
難しい説明は大きな壁ですが、
お母さんの声で耳から入ると、
言葉がすっと
心に届きます。
その後
「どういう意味だと思う?」と
問いかけてみると、
「あ、そういうことか」と
腑に落ちる瞬間が訪れます。
小さな納得体験は
「やればできる」という
自信の芽を育てます。
おすすめは、親子で
交互に音読する方法です。
一文ごとに交代で読むだけで
「一緒にやっている」という
感覚が生まれます。
中学生になると
「読み聞かせ」という言葉には
抵抗を示す子もいますが、
交互読みなら
子ども扱いされている
という感覚が少なく、
素直に取り組めることが
多いのです。
呼吸を合わせて声に出す時間は、
学びだけでなく
心のつながりを深めてくれる
大切な時間です。
お母さんのちょっとした
工夫と寄り添う姿勢が、
声に自信を持つための
一歩を支えます。
安心できる雰囲気を大切に。
その積み重ねが、
お子さまの心を支え、
未来への大きな力を育てます。
こうした取り組みは、
声を出すことを
「辛くイヤなこと」から
「安心できること」へと
変えていきます。
そして、少しずつ
積み重ねる中で
「できた!」という
手ごたえが生まれます。
その感覚は、
控えめなお子さまにとって
何より大きな宝物になります。
「今日は一行だけ声に出せた」
「今日は自分から続きを読めた」
という小さな成功体験を
積み重ねていくと、
声を出すことへの
不安が和らぎ、
自分の力で一歩を
踏み出せるようになりす。
大切なのは、
できない部分に注目
しすぎないことです。
声が出ない日があっても、
それは失敗ではなく
「今日は休憩の日」と
捉えてください。
そして
「昨日より少し進めたね」
「ここまで読めたね」
と小さな前進を認めてあげます。
それが子どもの心を軽くし、
次の挑戦につながります。
お母さんの
「大丈夫だよ」
「よく頑張ったね」
という一言が、
お子さまにとっては
大きな安心になります。
私も、
多くの子どもたちと接してきて、
「控えめな子」
「声が出にくい子」であっても、
小さな積み重ねで
必ず変化が訪れることを
実感しています。
最初は声を出すことを
拒んでいた子が、
数か月後には
自分の意見を文章に書き、
それを声に出して
読めるようになりました。
その過程に共通していたのは、
無理をせず、
安心できる環境で
小さな一歩を大切にしてきた
ということでした。
お母さん、
思い出してください。
控えめなお子さまには、
その子なりの
ペースがあります。
声に出せる日もあれば、
出せない日もあります。
でも、お母さんが
「この子は大丈夫」と信じて
伴走してあげれば、
お子さまは必ず
少しずつ成長していきます。
家庭での
ちょっとした工夫が、
やがて
「声が出せる自分」という
自信につながり、
学校や将来の社会生活にも
良い影響を広げます。
お母さんの支えは、
お子さまにとって
何より大きな力です。
今日の小さな一歩を
大切にしながら、一緒に
前へ進んでいきましょう。