不登校や場面緘黙、
社交不安、そして
HSC(とっても敏感な子)の傾向がある
お子さまたちにとって、
「自分の声を外に出す」
ということは、
私たちが想像する以上に、
大きな勇気を必要とします。
けれど、
そんなお子さまたちにも、
やさしく働きかける方法があります。
それが「音読」、特に
「シャドウイング」と呼ばれる
練習法です。
シャドウイングとは、
耳で聞いた音声を
すぐに追いかけて
声に出すトレーニングのこと。
語学教育や
言語発達支援の分野でも
効果が認められており、
脳の中で
「聴く・理解する・話す」といった
言語回路を
繰り返し活性化してくれます。
これにより、少しずつ
言葉が「自分のもの」として
定着していくのです。
誰かに評価されることもなく、
急かされたりすることもない
「自分だけのペースで
できる音読」は、
HSC傾向のあるお子さまや、
対人緊張が強いお子さまにとって、
安心して取り組める方法です。
声を出すことが怖かった子が、
「声に出せた」という
小さな体験を積み重ねることで、
「私は大丈夫」という
自己信頼が少しずつ
芽生えていきます。
この「できた」という感覚は、
言葉の力だけでなく、
生きる力そのものを
支えてくれるのです。
実際に
この方法を取り入れた
お子さまたちの多くが、
「読む力」だけでなく、
「聴き取る力」や
「語彙の理解力」にも
はっきりとした
変化を見せています。
中には、
国語の点数が
ぐんと伸びたことをきっかけに、
自分から人に
話しかけることができるようになった
という生徒さんもいます。
まずは、
ほんの一文でも
かまいません。
短くてもいいので、
くり返し
声に出してみることから
始めてみてください。
そして、その一歩が
出せたときには、
惜しみない拍手と言葉で
認めてあげてください。
音読は、
言葉の自信を取り戻す、
確かな力を持った
学びのひとつです。
もっと詳しい
実践の進め方や、
お子さまに合った
教材の選び方について
知りたい場合は、
どうぞお気軽に
ご相談ください。
お子さまの声が
未来へとつながるよう、
心をこめて
サポートいたします。

実際にお預かりした、
ある中学1年生の
女の子のケースを
ご紹介します。
彼女は、
小学校高学年の頃から
不登校となり、
先生やお友だちと話すことに
強い不安を抱えていました。
声を出すこと
そのものがつらく、
「こんにちは」と言うだけでも
涙が出てしまう・・・そんな
繊細な心の状態だったのです。
彼女との学習は、
たった1分間の
シャドウイングから
始まりました。
最初は、
声を出す必要も
ありません。
音声を一緒に聞きながら、
目で文章を追うだけ。
それでも彼女は
「耳で聞くと安心する」と言って、
ほんの少しずつ、
音をまねるように
なっていきました。
教材には、現代文よりも、
古文や漢文を
使用しました。
言葉の意味が
わからなくても、
リズムや響きが心地よく、
音そのものが
「安心できるもの」として、
彼女の中に
届いていったのです。
専門的に言えば、これは
「認知的負荷を軽くし、
音韻処理に自然と
集中できる環境」
が整った状態とも言えます。
少しずつ、
発話が明瞭になり、
声のボリュームも
上がってきました。
半年後には、
古文単語を口ずさみながら
登校準備をするようになり、
自宅での音読が
自然な習慣に。
1年後には、
英語と国語の成績が
ともに学年上位となり、
「友だちに
あいさつできるようになったのが、
一番うれしかった」と
笑顔で話してくれました。
音読には、
文章を読む力だけでなく、
「声を通じて自分自身を
表現する力」を
育てる作用があります。
これは、場面緘黙や
社交不安を抱えるお子さまにとって、
「静かなリハビリ」ともいえる
大切なプロセスです。
お母さまの暖かなまなざしと、
小さな成功体験の
積み重ねがあれば、
お子さまは
きっと変わっていきます。
「うちの子にも、
できるでしょうか…」と、
ご不安をお持ちでしたら、
ぜひ一度ご相談ください。
その小さな声が、やがて
確かな自信に変わっていきます。
不安なお子様には、私たちが
丁寧に優しく寄り添います。
