ある日、お母さんが
ぽつりと次のように
おっしゃいました。
「この子は、本当に
私の子なのかな? って、
思ってしまうことがあるんです」
その声には、
少し笑いも
混じっていたけれど、
どこか深い
ため息のような響きもありました。
お母さんなりに、毎日
一生懸命
子どもと向き合い、
寄り添ってこられたことは、
私にもよく伝わっていました。
それでも、
思うようにいかない日がある。
何度伝えても
響いていない
ような気がする。
周りの子と比べてしまい、
不安になったり
焦ったりする。
そんな気持ちになることって、
あなたにも、
ありますよね。
「どこで間違ったんだろう?」
「何がいけなかったんだろう?」
そんなふうに、ご自身を
責めてしまう日だって、
きっと
あると思います。
でも、忘れないでください。
それは
「お母さんが真剣に向き合っている証」です。
悩むのは、
愛しているからこそ
なのです。
子どもたちは
それぞれに個性があって
一人ひとり違います。
得意なことも、
苦手なことも、
興味をもつ分野も、
反応のしかたも、
まるでバラバラです。
兄弟姉妹であっても、
「なんでこの子は
こうなんだろう?」と
思うことがあるほどです。
でも、それは
「ダメなこと」
ではありません。
違うからこそ、
おもしろい。
違うからこそ、
その子だけの
学び方がある。
そして、
その子だけの
育ち方がある。
私が関わらせて
頂いているご家庭でも、
本当にたくさんの
個性に出会ってきました。
すぐに何でも
やってみたくなる子。
じっくり構えて
動かない子。
こだわりが強くて
妥協できない子。
なんとなく不安が
先に立ってしまう子。
でも、どの子にも
「ちゃんと伸びていく力」が
あります。
一気に花開く
タイプの子もいれば、
じわじわと
根っこを伸ばしていく
子もいます。
時間はかかっても、
芽が出る準備を
ずっとしていた子もいます。
そしてある日、
芽が顔を出し、
驚くほどのスピードで
成長を見せてくれました。
それは、お母さんが信じて、
寄り添い続けたから起こった
奇跡のような瞬間です。
最近、受動型ASDの
お子さまの学習について、
ご相談を頂くことが増えました。
「きっかけさえあれば、
動き出せそうなんだけど…」
「どうしたら、この子に合った
学習スタイルが見つかるのか…」
そんなふうに悩みながらも、
毎日お子さまを
見守っていらっしゃるお母さんに、
ぜひお伝えしたいことがあります。
受動型ASDのお子さまが
安心して
学習に取り組むためには、
「見通しが立つこと」
「静かで落ち着ける環境」、
そして
「無理のないリズム」が
とても大切です。
たとえば、学習の進み具合を
「見える化」すること。
シールや
色分けしたチェックリストを使って、
「終わった」
「これから」と、
進捗が目に見えると、
お子さまは安心して
次に進むことができます。
また、長時間の集中が
難しいことも多いため、
「5分学習→5分休憩」など、
小さなサイクルで
区切ることが効果的です。
音楽やクッションなど、
感覚的に落ち着ける
環境を整えてあげるのも
良い方法です。
さらに、
学習を「楽しいこと」と
感じられるようにするには、
ご褒美シールや
お気に入りの文房具、
ちょっとした
「お楽しみタイム」を
組み込んであげるのも
効果的です。
学習に対して
前向きなイメージが持てると、
取り組む姿勢にも
変化が現れます。
そして何よりも大切なのが、
ポジティブな声かけ。
「できたね」
「今ここまで進んだよ」
といった、
何気ない一言が、
お子さまの自信を育てます。
「ひとつの方法」に
こだわる必要はありません。
動画を使う、
手を動かす、
絵で覚えるなど。
柔軟にいろんなアプローチを
試していく中で、
「この子に合うやり方」が
きっと見つかります。
焦らず、
比べず、
少しずつ。
お母さんとお子さまの
「ペース」を大切にしながら、
私たちはいつも
そばでサポートしています。
どんな小さなことでも
かまいません。
「この子に合った
学び方を知りたい」
そんなお気持ちがあれば、
一度ご相談くださいね。