「好きなことから始めよう」
その一言が、
子どもの人生を
動かすことがあります。
先日、
元・阪神タイガースの
狩野恵輔選手と、
教育と子どもの成長について
対談する機会を
いただきました。
テーマは
「生きづらさを抱える子どもたちに、
どう寄り添うか」。
狩野選手は、
プロ野球の世界で数々の
挫折と
再起を経験された方。
その真摯なまなざしと
温かな言葉に、
私も多くの気づきを
いただきました。
狩野選手が
驚かれたのは、
私が
「たった一人の生徒のために
オフィスを開設した」
という話でした。
あるお母さまからの
電話がきっかけです。
「先生、遠くてもいいから
娘を通わせたいんです」
その一言には、
深い愛情と
祈りが
込められていました。
娘さんは学校での
人間関係がきっかけで
外に出られなくなっていました。
音読を通して少しずつ
自信を取り戻し、
やがて笑顔を
見せるようになりました。
その報告を受けたとき、
私は
「この子の未来を支えたい」と
強く感じ、
その学校と
彼女の自宅の中間地点に
オフィスを開設しました。
子どもたちは、
たとえ一人でも、
世界にたった一つの
光を持っています。
その光が
消えかけているとき、
そっと
風よけになる・・・
それが私の仕事です。
オフィスには、
「好きなこと」に
夢中になれる
生徒たちも通っています。
昆虫が大好きな高校生には、
イギリスから
英語の昆虫図鑑を
取り寄せました。
好きなものを通して学ぶことで、
英語がぐんぐん頭に入り、
わずか一年で
中学三年分をマスター。
七年間のひきこもり生活を経て、
見事に
関西大学へ進学しました。
(現役合格です)
「好きなことが未来を変える」
狩野選手は
その言葉にうなずき、
「まるで逆転サヨナラ
満塁ホームランですね!」
と笑顔でおっしゃいました。
お母さまが
「この子の中には光がある」
と信じ続けること。
それこそが、
どんな指導よりも
強い力になります。
お子さまの「好き」に
耳を傾けてください。
そこから始まる学びが、
必ず人生の扉を開きます。
――好きが未来を変える。
それは、
すべてのお母さまへの
希望のメッセージです。
狩野選手は、まるで
ホームランを打ったかのように
目を輝かせて言いました。
「それはまさに、
逆転サヨナラ満塁ホームランですね!」
そう言って
笑いながらも、
その奥には
深い共感がありました。
「“好き”をきっかけにすれば、
子どもはどこまでも伸びる。
自分も野球が好きだから
続けられたんです。」
スポーツも学びも、
根っこは同じ
「好き」という気持ちが
人を動かす原動力です。
私も、
子どもたちを見ていて
強く感じます。
才能は
「ワンパターン」教育の中からは
生まれません。
「みんなと同じようにできない」
と責めるのではなく、
「この子にしかできないこと」がある。
その芽を見つけ、
光を当ててあげることが、
教育の本質だと思います。
狩野選手は言いました。
「コーチから
褒められることも、
叱られることも、
どちらも
自分を成長させてくれた。
支える側には
そのバランスが
大事だと思います。」
まさにその通りです。
私たちのコーチングも、
子どもを甘やかすこと
ではありません。
信頼の中に
温かい厳しさを持ち、
子ども自身が
「自分の力で進む」ための
サポートをする。
その先にこそ、ほんとうの
自立があると
信じています。
この対談の最後に、
狩野選手が静かに言われた
言葉が印象的でした。
「教育の世界も、
野球と同じですね。
努力しても結果がすぐ
出ないことがある。
でも、あきらめずに
続ける人だけが
次のステージに行ける。」
そう!!
教育もまた、野球の
長いシーズンのようなものです。
結果を焦らず、
信じて、
待って、
見守ること。
その中で、
お母さんや指導者の
「信じるまなざし」が、
子どもの心に
勇気の火を灯します。
どんなに時間がかかっても、
子どもたちは成長します。
それを信じる心こそが、
最大の教育力です。
お母さま、どうか
焦らずないでください。
「できない」と思えた子にも、
必ず「できる日」が訪れます。
その日を信じて、一歩ずつ。
それが、子どもたちの
未来を輝かせる
いちばん確かな道です。
スタディ・コーチング・ラボラトリー
代表 福田秀一