股関節は可動域が大きく、周りの筋肉も強く下半身の動きでよく使う部分です。よって様々な症状が出やすい関節とも言えます。
股関節が痛い、立ち上がる時に股関節が痛む、車から降りる時に痛い、股関節が抜ける感じがする、足がダルい、歩いていると苦しくなる、歩くのが億劫になる、さらに、性別や年齢、職業やスポーツ歴、産前産後や更年期など症状は人によって全く違います。
昔は畳の家が多く、床に座る、立つ動作、和式トイレでしゃがむ、洗濯や雑巾掛けを行うなど、下半身を多く使う生活をしていました。
しかし、現在は生活のなかで下半身を使うことが減っているため、股関節や骨盤、下半身の筋肉の動かすことが減ってきています。
また、仕事も身体を使う働き方から長時間イスに座る働き方に変わってきました。
人の身体は長時間座るようにできていないため、仕事で1日中イスに座り家でもイスに座る生活は股関節にすごく負担がかかります。
主な原因は「関節のズレ」と「筋肉の緊張」です。
生活においての身体の使い方が重要です。
例えば医療・介護関係の仕事は患者さんや利用者さんを支える、走るだけでなくデスクワークもあります。
股関節に関係している筋肉をよく使い、関節に重さもかかります。長時間座る大勢が続くと股関節にはすごく負担がかかります。
受けきれないと関節は位置を変えて負担を逃がします。
これがよく「関節がズレた」という感覚です。
また、長時間のデスクワークも股関節に負担がかかります。一見すると座っている姿勢は楽な恰好に見えますが、体勢を固定するために関節や筋肉はずっと働いています。
特に固定した状態から動き始める時はスムーズに動かないため、筋肉や関節を痛める、関節がズレる感覚になります。
股関節は下半身を使うほとんどの動きに関わるとても重要な関節です。股関節が痛くなると歩く、しゃがむ、階段を上るなど日常生活に支障が出ます。
そこで起こるのが「痛い股関節をかばって動く」ということです。
痛い部分を積極的に使う人はあまりいません。
例えば足首をねんざすると、ねんざした側の足はなるべく使わないようにします。
人は痛い部分を無意識にかばって使うようになっています。かばって使うことが悪いわけではなく、かばうことで患部の負担を減らして治そうとしていますが、かばい続けることで他の筋肉や関節に負担がかかってしまいます。
関節は一つで動くことはほとんどなく、複数の関節が連動して動いています。下半身だと股関節の近くにある膝、さらに足首に負担がかかります。
上半身だと腰、さらに姿勢も悪くなります。
股関節はおわんのような形の寛骨臼がある骨盤と、ボールのような形の骨頭がある大腿骨に合わさり作られています。
また、股関節は軟骨というクッションがあり、衝撃の吸収や摩擦を減らします。よって、負担が部分的に集中すると違和感や痛みが出やすい関節です。
性別:股関節の痛みや違和感は女性に多く診られます。(女性の股関節の構造の違い、筋力)
職業:医療関係や介護関係、デスクワークの方に多くみられます。
医療関係や介護関係は股関節を曲げる・捻る動きから重さがかかる動きが多く負担が大きくかかる職業です。デスクワークは一見すると関節に負担がかかっていないようにみえますが、座っている体勢を保つために関節や筋肉を固定して使い続けているため、負担が大きい体勢の一つです。
産前産後:産前はホルモンの作用、産後は「だっこ」「授乳」などの負担から多くみられます。
妊娠をすると「リラキシン」というホルモンの作用で骨盤まわりの筋肉や靱帯が緩むようになります。さらに、妊娠が進むにつれて腹部が大きくなるため骨盤にかかる負担が増えます。
また、産後は「だっこ」「授乳」などの偏った体勢による負担、不規則な生活による体調不良から、股関節だけでなく身体全体の負担が大きくなる時期です。
スポーツ:水泳、新体操など過去に高い柔軟性が問われるスポーツをしている方に多くみられます。
柔軟性が高いということは関節が「やわらかい」と言いますが、実際は関節の靱帯が「緩い状態」とも言えます。スポーツをしている時は筋肉で支えていた関節も引退後は筋力や連動性の低下によって負担がかかるようになります。