〔腰痛予備軍〕
腰痛予備軍とは、現在腰に痛みを感じていないけれども、将来腰痛に悩まされる可能性のある人のことです。仕事が忙しく十分に休めない人、車を運転をする機会の多い人、お腹が出てきたという人、ハードなスポーツをしている人など全てそうです。これらの人は、積極的に何が腰に負担をかけているのかを知り、対策を講じなければなりません。そうすれば、腰痛に対する不安も消え、健康に自信が持てるようになります。
腰痛予備軍の人の鍼灸治療は、まず最初に疲労を取り除くことからはじめます。これは腰部だけでなく全身の疲れを取るようにし、次に筋肉のコリをほぐします。腰部の筋肉のコリはもちろん、下肢の筋肉、頚肩の筋肉のコリもほぐしします。人間の身体は全て関連しています。腰を痛めれば下肢に負担をかけ、肩凝りがひどくなると腰に負担をかけてしまいます。コリを放置しておくと、血液の循環が悪くなり、疲れがなかなか取れなくなり、身体のバランスを崩して姿勢が乱れてきます。姿勢の乱れこそが腰痛の一番の原因です。このような悪循環を鍼灸治療は、断ち切ってしまうのです。
〔筋肉性腰痛〕
主に腰部の筋肉の血液循環が悪くなったためにコリができ、筋肉が疲労して痛みが起こるのが筋肉性腰痛です。腰部の筋肉がこわばり、前かがみをしようとすると痛みがあり、ベルトのラインより上が痛いのが特徴です。筋肉性腰痛には急性と慢性があります。急性のものは、いわゆるギックリ腰の一種で、これはまったく身動きできない程の激痛です。無理な姿勢で重い物を持ったりした時などによく起こります。ギックリ腰と言われるものには、急性の他にも腰椎関節性のものがありますが、発症時の痛みは同じです。ギックリ腰になったらとにかく安静が第一です。一番楽な姿勢のまま横になり、氷などで腰部を冷やします。これは腰部の損傷部位が炎症を起こしているので、炎症を抑えるために必ず実行してください。一日安静にしているとずいぶん良くなります。それから鍼灸治療を受けられると大変効果があります。個人差もありますが、だいたい２週間位で治ります。
次に慢性のものですが、これは急性のものほど激しい痛みではありませんが、長時間同じ姿勢をしていると痛みだしたり、運動している最中に痛んだりします。慢性の痛みの場合、急性のものとは逆に保温に注意し腰部を温めなければなりません。そして鍼灸治療により筋肉のコリをほぐして血液循環を整えてやれば治ります。ただし慢性の痛みの場合、その原因の多くは毎日の生活環境の中にあるので、一度鍼灸治療で良くなっても又痛み出すことがあります。これを予防するには何が腰に負担をかけているのかを自覚し、それを改善するように努力することが大切です。また腰痛を防ぐ腰痛体操の実行も大変効果的です。
〔腰椎関節性腰痛〕
腰椎（腰骨）の関節の血液循環が悪いために、関節は滑らかさを無くし、関節の周囲のスジ（靱帯など）も硬くこわばり、炎症が起こっている状態です。ベルトのラインより下が痛く、身体を後ろにそらすと痛むのが特徴です。腰椎関節性腰痛には急性と慢性があります。急性のものは、いわゆるギックリ腰で、無理な姿勢から重い物を持ち上げた時などによく起こります。ギックリ腰になったら、とにかく安静が第一です。一番楽な姿勢のまま横になり、腰部の炎症が早くひくように氷などで冷やします。こうして一日安静にしているとずいぶんと楽になります。もし一日安静にしていても、痛みが全然変わらないようならば椎間板ヘルニアなどが考えられるので、整形外科などでレントゲンを撮ってもらうことをお薦めします。それから鍼灸治療を受けられると効果的で短期間の間に治ります。個人差はありますが、だいたい２〜３週間位で治ります。
次に慢性のものですが、これは急性のものほど激しい痛みではありませんが、朝フトンから起きあがる際に痛んだり、長時間同じ姿勢をしていると痛み出したりします。慢性の痛みの場合は、保温に注意して温めなければなりません。これは痛みの原因の一つに腰部の冷えがあるからです。そして鍼灸治療により関節周囲のスジのこわばりをほぐしてやると、関節の血液循環が良くなり関節は滑らかさを取り戻し、痛みは無くなります。ただし慢性の痛みの場合、その原因は冷えをはじめ毎日の生活環境の中にあるので、一度良くなっても又痛み出すことがあります。これを予防するには、何が腰に負担をかけているのかをよく自覚し、それを改善するように努力することが大切です。また腰痛を防ぐ腰痛体操の実行も大変効果があります。
〔座骨神経痛〕
座骨神経とは、背骨の中を通っている脊髄神経の一部で、腰椎や仙椎から出ている脊髄神経が合わさったものです。これは臀部を通り、足先まで達しています。この座骨神経が、腰部椎間板ヘルニアや変形性脊椎症などにより牽引・圧迫といった障害を受けると、腰から足にかけて痛みやしびれ感が生じます。これを座骨神経痛と言います。普通の腰痛と違うのは、痛みが腰部だけでなく足の方まで痛いところです。
座骨神経が重度に傷害されると、痛みやしびれ感の他に、下肢の麻痺や膀胱・直腸障害（排尿・排便が障害される）などの症状が現れ手術の必要な場合もありますが、それ以外は鍼灸治療により十分な効果が期待できます。ただし普通の腰痛に比べると治るまでに時間がかかり、早くて１ヶ月、平均３ヶ月位はかかります。また痛みそのものは割と早くとれるのですが、しびれ感は長くかかるようです。
座骨神経痛は治るまで時間がかかるので、その間の鍼灸治療プラス養生が大事になってきます。“仕事中は腰にさらしを巻く”とか“重い物を持たないようにする”などがそうです。養生法は他にも色々ありますが、痛みの程度や生活環境により異なるので先生と相談しながら行うようにしてください。治療効果がより一層上がります。
＊一口メモ（椎間板ヘルニアとはか？）
椎間板から飛び出した随核が、神経を圧迫している状態をヘルニアといいます９０％以上の水分から出来ているので、やがて周囲の組織に吸収されてしまいます。しかし随核が吸収されるまでに時間がかかるので、圧迫を受けている神経が炎症を起こしてしまい、腰部や下肢に激しい痛みやしびれ感が生じます。
恵安堂治療院(ヒーラーI)
