伝統的中国医学(TCM: Traditional Chinese Medicine)の中では、古くから「按摩(Anmo)」という手技療法があり、1604年(明の時代)に、龔廷賢(きょうていけん)に著作された『小児推拿秘旨(しょうにすいなひし)』から、「推拿(Tuina)」と称された。その後、「按摩」と「推拿」の二つ名称が併用されてきた。
「按」とは抑止の意で、上から下へ垂直の力を用い、「摩」とは円を描くように回すという手技である。一方、「推」とは一方向へ押し進み、「拿」とは掴み上げるという手技である。
現在、中国政府は「推拿」という名称で手技医学を公式に命名しているわけである。「推拿(Tuina Therapy)」とは、中医基礎理論に基づき、人体の体表の経絡・経穴や患部にある筋肉・筋膜・靭帯・関節などに、各種の手技を用いて、疾病予防や疲労回復・健康増進をはかる中医外治法のひとつである。