口コミ
ぼんやり光る看板に惹かれて入店。
この辺りは駅前のように外灯目立つわけではない。
一歩路地を入れば真っ暗な道も多く、周辺の閑静な雰囲気も加わるとこの店の看板はちょっと特別な空気感を放っていた。
ジュークボックスのような形に赤いランプで店の名前が光る。不格好とカッコよさのバランスが絶妙なのだ。
店の外観はガラス張りにくすんだミントグリーンの木枠で少しレトロな感じ。
中に入ると右手にはうず高く積まれた大量の書籍、文庫本の数々。左手には古い映画で見るような外套と帽子が壁にかけられている。
壁には潜水艦の小窓があり、中にはウルトラ怪獣がディスプレイされていた。バーカウンターは近未来映画にでてきそう……なんというか、少年の夢がこれでもかと詰め込まれているようだ。
この空間だけでも私的には大満足なのだが、席につくとまた楽しい驚きがたくさんあった。
カウンターには古いマッチや華族令嬢のブロマイド、山の上ホテルのシール、レトロなデザインの整髪料がズラリ。これらをひとつひとつ手にとって見られる。
古めかしいフォントで書かれているクラフト紙のメニュー表は手書きだそう。
ドリンクメニューは充実しているが、フードメニューは実に簡素。ここがまたお気に入りポイント。秘密基地のようなこの空間に凝った料理はいらない。
キッチンも実に簡素でいいのだ。
うず高く積まれた書籍を手にちびちびお酒を飲んでいると(この書籍の数々がまたいい。昭和風俗から飛行機、なぜかパンナム航空を網羅したムック本なんかもあった)、不思議と落ち着く。
カウンターにある品々は実際に使われていたものだそうで、知識豊富な店主が丁寧にどういった物なのか説明してくださる。
話をする中で、この店の内装、外装ともに店主が手がけたものだと知った。
自分の好きな乗り物を詰め込んだとのことで、オープンまでに数年を費やしたそう。
おかげでひとつひとつはチグハグな物もすべてバランスよくまとまっている。
このおもしろい雰囲気はなかなか出せない。
お酒を飲みたい!という衝動にかられてというよりは、この雰囲気を楽しむために行くお店。
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