玉堂さんが、奥多摩のこの土地を気に入られ、
住むことを決められたという。
彼が若いころと、晩年のころ、
その両方の作品が見比べられる贅沢もあります。
鳥や植物、椎茸などを描く、
スケッチの力には、
目を見張る腕があります。
大作についても、
若いころは、
情熱を持って、エネルギーを絵筆に注がれていたことが
感じられます。
一方、晩年は、
無駄なものがそぎ落とされて、
この世の中のもの、
生き物や自然、すべてを慈しまれるかのような、
やわらかさに満ちた画風です。
美術館の一角には、彼のアトリエが再現されていて、
つい彼の描く姿が、
そこに見えるような気がしました。