『うつほ物語』は、平安時代中期に成立した日本最古の長編物語で、全20巻から成ります。この作品は、清原俊蔭、その娘、藤原仲忠、犬宮の4代にわたる琴の名人一家の繁栄を描き、また源正頼の娘貴宮を巡る恋愛模様や政争を巧みに織り交ぜています。物語の始まりは、清原俊蔭が遣唐使として中国へ向かう途中、波斯国で仙人から琴の秘技を授かり、その技を後世に伝えようとする部分です。俊蔭が故郷へ帰り、娘に秘琴と清原家の再興を託して亡くなると、彼女は藤原兼雅との間に生まれた息子、仲忠と共に北山の森に隠れ住みながら、琴の技を伝えていきます。
韻の美しさや音楽の才能はこの物語において重要なテーマです。特に、仲忠は後に様々な求婚者の中から東宮妃として藤壺を迎える貴宮への求婚に挑戦し、物語全体を通して彼と彼の一族の運命は音楽を基に展開します。
『うつほ物語』は、その文学的価値が高く評価されており、すでに東宮妃に選ばれた貴宮との恋愛や、音楽による結びつき、そして社会的背景の描写などから、後の『源氏物語』に多大な影響を与えました。この作品は、ただの恋物語ではなく、今日においても普遍的な要素を持ち、読者に深い感動を与える力を持った作品と言えるでしょう。