丸屋

神楽坂に住む友人のを訪ね
「たまにはお蕎麦でも」と出かけた

一体的に派手に町が様変わりしだしているので
「日本蕎麦屋さんを探そう」と意識して歩かないと
見落とし、見過ごされてしまうのが丸屋

唯一の目印となるのが
入り口で廻っている小さな水車
「うん、この趣向イイネ！」と肯きあい店内へ

店内もまさに町中のお蕎麦屋そのままの
テーブル席が７つか８つのせいぜい１５、６坪

たまには月見蕎麦なんてのも良いかも
などと、めったに頼まないそれを注文
昼時をちょっと過ぎていたせいだろうが
他に客は２組
テレビの音と客同士の他を憚った話し声、厨房の音

いいんだなぁ、これが
まさに昭和のよき時代を彷彿させて

さて出てきた月見蕎麦
白いお蕎麦と淡いおつゆで、鰹のだしが美味しそうな香り
絹さやと白いかまぼこ
千切りの海苔にふんわり乗った卵
薬味のネギは別のお皿

色彩のバランスの良さに相まって
お味はわたしたち好みのビミョウな甘さがあり
喉ごしもよく、さらにお値段が￥６００

時間帯のせいもあるかと思うが
落ち着いてお蕎麦を食べられて、ゆっくりお喋りもでき満足

仰々しさも派手さもない、昭和の匂いがするこんなお蕎麦屋が
いつか時代の波に飲み込まれてしまうのかもしれない
などと語り合いながら、生き残って欲しいと願う店であった