ゴキブリの死骸と糞によるマザーボードの損傷による修理案件。
今回の依頼は、電源は入るものの画面表示やOS起動の反応が全くないノートパソコンの修理依頼でした。分解調査の結果、内部の基板やHDD周辺にゴキブリの死骸と糞が多数付着していました。虫の糞や死骸は導電性があり、基板上でショートや腐食を引き起こし、電流の流れを妨げることで、パソコンの起動不良を招きます。この事例では、マザーボード自体の損傷が強く疑われました。
この種の損傷は通常のクリーニングでは修復が困難で、高い技術と高額な費用を要する「再半田処理」が必要になる場合があります。お客様には費用とリスクを説明したところ、今回は修理を見送る判断となりました。
アドバイス:
パソコン内部は「暖かい」「狭い」「湿気がある」「餌がある」という虫にとっての好条件が揃っているため、特に高温多湿な環境ではゴキブリやチャタテムシなどが侵入しやすくなります。パソコンの熱と、デスク周りの食べこぼしなどが主な誘引原因です。
【虫の混入を防ぐための予防策】 虫害を防ぐには、虫が好む環境を作らないことが最も重要です。
環境の整備(湿気・温度):
湿度を50%以下に保ち、定期的な換気と除湿を行います。
未使用時は電源を切り、パソコン内部に熱がこもらないようにします。
清掃の徹底(餌と隠れ場所):
デスクやパソコン周辺での飲食を控え、食べこぼしを残さないようにします。
キーボードや本体を定期的に清掃し、ホコリやゴミを取り除きます。キーボードの隙間にはエアダスターや粘着クリーナーが効果的です。
物理的な対策:
使わないときは防虫・防塵カバーをかけ、虫の侵入を防ぎます。
ハッカ油などの天然忌避剤を周辺に置くことも有効です。
【虫が侵入した場合の対処法】 侵入が確認されたら、必ずパソコンをシャットダウンし、電源ケーブルとバッテリーを外して安全を確保します。
キーボードや隙間:粘着クリーナーや掃除機で吸い取ります(部品を傷つけないよう注意)。
デスクトップ内部:エアダスターで奥から手前にホコリを吹き飛ばします(ファンを固定)。
液晶モニター内部:画面を押して虫を潰すのは厳禁です。電源を切って放置し、虫が下に落ちるのを待つか、ドライヤーの温風を遠くから当てて下端へ誘導する方法を試します。
日頃の清掃と適切な環境管理を心がけましょう。