日本料理
江戸川橋駅から徒歩6分(470m)
江戸川橋の路地にそっと灯る「ふくのもと」で、おまかせ会席をいただきました。ガラス張りの開放感と、無垢材の温もりある空間が印象的で、扉を開けた瞬間からふんわりとした静けさに包まれます。 最初に運ばれてきたのは、春の前菜盛り合わせ。菜の花のお浸しは、青々とした香りとほろ苦さが出汁と調和し、筍の木の芽味噌添えは、ほのかな山椒の香りと甘い味噌が相まって、季節の息吹を感じさせてくれました。ひと皿ひと皿、きちんと手間をかけていることが伝わってくる、丁寧な味わい。 お造りは中トロ、鯛、スズキの三種。中トロは脂のとろみが舌の上でじゅわっと広がり、鯛はきゅっとした歯応えと繊細な甘み。スズキはしっとりとしていて、噛むたびに淡い旨味がにじみ出て、どれも穏やかながら確かな存在感がありました。 焼き物には鯛の塩焼きを。皮はパリッと香ばしく、身はふっくらとした火入れで、箸を入れるたびに湯気とともに優しい香りが立ちのぼります。塩加減も絶妙で、ほんのりとした甘みを引き立ててくれました。 煮物は里芋と大根の炊き合わせ。出汁が芯までしっかり染み込んでいて、口に運ぶとじんわりと温かさが広がります。ほんの少し添えられた柚子皮が香りのアクセントになっていて、シンプルながら飽きのこない、ほっとする一品。 そして茶碗蒸しは、鶏肉や銀杏がごろっと入った贅沢仕様。ぷるぷるとした食感と出汁の風味が一体になり、身体の奥まで優しく染み込んでいくような、心をほどくような一杯でした。 最後の炊き込みご飯は、季節の山菜と鶏の香りがふわっと立ち上がり、一口食べるごとに出汁の旨味がじんわり。噛むほどに素材の滋味が感じられて、締めにふさわしい一碗でした。 「ふくのもと」は、華美な演出よりも、静かに寄り添うような和の美しさを大切にしているお店。料理が生まれる空間と、その余韻までも丁寧に味わえる、そんな穏やかな夜時間を過ごせる場所でした。
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