日本社会で深刻化している「孤独死」の問題は、従来の高齢者中心から20代の若者層へと広がりを見せています。とりわけ都市部では、リモートワークの普及やオンライン化の進展により、若者の孤立が加速し、孤独死のリスクが高まっています。この記事では、遺品整理士の視点から、20代の孤独死の実態とその背景にある社会的要因を探るとともに、予防のための具体的な対策について考察していきます。
20代における孤独死の増加とその背景
孤独死は、誰にも看取られることなく亡くなり、その後、通常1週間から1ヶ月以上経過してから発見される死のことです。
孤独死の定義:
誰にも看取られることなく亡くなり、その後1週間から1ヶ月以上経過して発見される死
近年、従来の高齢者中心から20代の若者層にも拡大
都市部での増加が顕著(名古屋市の例:年間約50件、5年前比1.5倍)
男性が約7割を占め、単身世帯に集中
遺品整理士として経験した印象的なケースの一つに、都内のワンルームマンションで発見された25歳のIT企業勤務の男性のケースがあります。リモートワークが常態化する中、一週間以上のオンライン不在により会社が異変に気付き、発見に至りました。従来は高齢者に多かったこの問題が、近年、若い世代でも深刻化している現状を目の当たりにしています。
最新の統計によると、20代の孤独死はとくに都市部で増加傾向にあります。名古屋市内では、20代の孤独死が年間約50件発生しており、その数は5年前と比較して約1.5倍に増加しています。性別では、男性が約7割を占めており、とくに単身世帯での発生が目立ちます。このような若年層の孤独死では、デジタル機器やSNSアカウントの存在など、従来とは異なる新たな特徴も見られます。
現代社会における孤独死の増加には、複数の要因が絡み合っています。第一に、就職難や非正規雇用の増加により、経済的な不安定さを抱える若者が増加していることが挙げられます。また、コロナ禍を経て、テレワークの普及やオンライン化の進展により、物理的な人との接触が減少したことも、若者の孤立を加速させる一因となっています。
社会的要因:
就職難と非正規雇用の増加による経済的不安定性
コロナ禍によるテレワークの普及と対面接触の減少
終身雇用制度の崩壊
副業・フリーランス化の進展
リモートワークによる人間関係の希薄化
