香りには記憶を呼び起こす力と、癒しなどの感情を誘導する力があり、これを治療に応用したのがアロマセラピーです。みなさんは、アロマオイルの香りが痛みを和らげることをご存知ですか?
痛みと香りが同時に刺激として加わると、痛み単独の刺激と比較して、感じる痛みの程度が軽減されることがわかっています。ラベンダーやローズの精油を用いた芳香浴を行い、脳血流を確認したところ、痛みが緩和されていることが証明されました。(※1)
また、整形外科のリハビリテーションにアロマを取り入れ、痛みのある患者さまの満足感が向上したとの報告もあります。
アロマセラピーの効果における研究(※2)では、レモングラス・ユーカリ・ローズマリー・ゼラニウム・グレープフルーツなどの精油の中から、既往歴などにより禁忌となるものを避けて使用したところ、痛みが緩和されただけでなく、筋肉の緊張をほぐし、関節の可動域が拡大したと報告されました。
自宅での芳香浴は、セルフケアとしても手軽に始められるのでおすすめです。ティッシュに2、3滴アロマオイルを染み込ませて10~15分間芳香するだけでも効能を発揮します。
用法用量に注意が必要ですし、妊娠中や持病等で使用できない精油もありますので、お近くのアロマセラピストに相談してみましょう。また、痛みが急激に悪化するなど、改善しない場合は主治医を受診ください。
参考文献
※1 日本アロマセラピー学会エビデンス集 過去十年間(2002〜2011年)の歩み・論文集
※2 鶴岡 実樹、整形外科医療現場におけるアロマセラピーの効果、日本アロマセラピー学会誌 第23回学術集会総会 シンポジウム1(2020)
