ふしきの

神楽坂の静かな路地に佇む「ふしきの」は、日本料理と日本酒を極めた特別な一軒。食材と器、そして酒の調和を追求した独自の世界観が広がります。カウンターに座ると、料理人が丁寧に仕上げる美しい料理と、それに合わせた日本酒が提供され、五感で楽しむ贅沢な時間が始まります。

この日は、季節のコースを注文。最初に登場したのは「春野菜の浸し」。山菜のほろ苦さと出汁の香りが絶妙に絡み、春を感じさせる一品でした。これに合わせたのは、穏やかな旨味とキレのある純米酒。口に含むと、酒の優しい甘みが野菜の風味を引き立て、心地よい余韻を残します。

続いてのお造りは、熟成させた白身魚と新鮮な中トロの盛り合わせ。昆布締めにした白身魚は、旨味が凝縮され、噛むほどに味わい深く、中トロは口の中でとろけるような滑らかさ。これには、少し温めた燗酒が供され、まろやかさと魚の脂が絶妙に調和しました。

焼き物として提供されたのは「甘鯛の松笠焼き」。鱗をカリカリに仕上げた甘鯛は、パリッとした食感とふんわりとした身のバランスが絶妙。添えられた柚子の香りが爽やかに広がり、日本酒の酸味と相まって上品な余韻を楽しめました。

締めのご飯は「ちりめん山椒の土鍋ご飯」。ほかほかの炊き立てご飯に、山椒の爽やかな香りとちりめんじゃこの塩気が染み込み、噛むほどに幸せを感じる味わい。合わせる酒は、しっかりとしたコクのある熟成酒で、ご飯の甘みを一層引き立ててくれました。

「ふしきの」では、料理と日本酒が織りなす最高のペアリングを堪能できる特別な時間が流れています。素材の味を大切にした繊細な料理と、日本酒の奥深さを存分に楽しめる、まさに大人のための一軒でした。