中高年投手のためのセルフケアとリハビリ入門
「投げた翌日に肩が上がらない」「痛み止めなしでは投げられない」──そんな状態になっていませんか?50代以降の草野球投手にとって、肩や肘の慢性的な痛みは決して珍しくありません。今回は、腱板断裂や肩関節症の予防と改善につながるセルフケアとリハビリの基本をお伝えします。
■ 痛みの正体を知る
中高年に多い肩の痛みの原因として代表的なのが、腱板断裂と変形性肩関節症です。腱板断裂は、肩の奥にある腱が部分的または完全に切れてしまう状態。初期は「腕を上げづらい」「寝返りで痛む」といった症状から始まります。
一方、変形性肩関節症は、関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかって炎症を起こす疾患。どちらも50代以降の野球経験者に多いと言われています。
■ 無理は禁物。まずは休養と冷却を
痛みを感じたら、まずは無理せず休むことが第一です。痛みを我慢して投げ続けると、損傷が進行して回復が難しくなるケースもあります。
投球後や痛みが強いときにはアイシングを行いましょう。冷却によって炎症が抑えられ、痛みの軽減にもつながります。ただし、冷やしすぎは血行不良を招くため、10〜15分を目安に。
■ 自宅でできるリハビリ・セルフケア
次に、症状の軽い段階で行えるセルフケアをご紹介します。
コッドマン体操(振り子運動)
痛みの少ない範囲で腕を前後左右に揺らす運動。肩関節内の緊張を和らげ、可動域を保つ効果があります。
肩甲骨まわりのストレッチ
背中側で手を組んで胸を開く、壁に手をついて回旋するなど、肩甲骨を意識して動かすことで、肩の負担を軽減します。
ゴムバンドを使った筋トレ(低負荷)
ゴムチューブでの軽い外旋運動や内旋運動は、肩を安定させる筋肉(インナーマッスル)の強化につながります。
※痛みが強い場合は医師や専門家に相談したうえで行いましょう。
■ 自分の肩を知ることが第一歩
肩の状態は一人ひとり異なります。違和感を「いつものこと」と流さず、自分の体の声を聞いて対応することが、野球を長く楽しむための最大のポイントです。
無理をしない投球習慣と、適切なセルフケア。これらを取り入れるだけで、肩は驚くほど軽くなることがあります。
次回予告
シリーズ第6回|50代投手のための生活習慣術 ― 食事・睡眠・メンタルで差がつく!