「まだまだ若いもんには負けられない」と思いながらも、肩や肘にズシリとくる痛み。そんな50代以降の草野球投手にとって、「投げ方の見直し」は今後の野球人生を左右するカギとなります。
若い頃のように全力投球を繰り返すと、関節への負担は年齢とともに加速度的に増していきます。特に腱板や軟骨の摩耗が進んでいる状態では、無理に腕を振ることは怪我のリスクを高めてしまいます。
ここで大切なのが、「力を抜いた効率重視のフォーム」へとシフトすることです。
たとえば、プロ野球でもベテラン投手ほど力感のないフォームでキレのある球を投げている姿を見たことがあると思います。これは“体全体の連動”を使って投げているからです。肩や肘に頼るのではなく、下半身からのパワーをうまく使い、最小限の力で最大限のパフォーマンスを引き出しているのです。
フォーム改善の第一歩は、「重心移動」と「体幹の回旋」を意識すること。腕の力だけで投げるのではなく、足で地面を押し、骨盤の回転を利用して自然と腕が振られるようなイメージで投げてみましょう。いわゆる「スローピッチング技術」を活用すれば、スピードは抑えつつもコントロールのよい、打たれにくい投球が可能になります。
また、投球前後のストレッチや、肩周り・体幹の筋力を保つ軽いトレーニングも継続が重要です。年齢を重ねた今だからこそ、“正しいフォーム”と“身体の使い方”で、まだまだ現役を続けることができるのです。
投球に必要なのは「力」より「知恵」。自分の体と対話しながら、効率的なフォームを身につけることが、これからの野球人生を長く楽しむための最大の武器になります。
次回は、無理なく投げ続けるために必要な「50代スポーツ選手のためのコンディショニング」についてお届けします。
次回予告
シリーズ第4回|無理をしない投球習慣へ ― 50代投手のための体ケアとトレーニング