前回は、中高年草野球投手に増えてくる「スポーツ障害 野球」の現実についてご紹介しました。今回は、実際に多くの選手が悩まされる「野球肩」「野球肘」の仕組みについて掘り下げていきます。
まず「野球肩」とは、投球動作の繰り返しによって、肩関節やその周囲に負担がかかり、炎症や損傷が起こる状態を指します。特に50代以降の選手は、肩のインナーマッスルである「腱板（けんばん）」が弱くなりやすく、投球のたびにダメージが蓄積されます。その結果、「腱板断裂」や「肩関節周囲炎（いわゆる五十肩）」を引き起こしやすくなるのです。
一方で「野球肘」は、肘の内側・外側に負担が集中し、靭帯や骨に炎症が生じる症状です。成長期の子どもにも多く見られますが、中高年の場合は関節軟骨の摩耗や、長年の使いすぎによる変形が原因となることが多いです。
これらの障害は、どちらも「使いすぎ」「フォームの乱れ」「筋力の衰え」などが主な要因。特に、若い頃の感覚のまま投げ続けることで、関節への負担が過剰になり、慢性的な痛みへとつながります。
では、どうすればこれらの障害を防げるのでしょうか？
まず第一に、「加齢に応じた投球フォーム」への見直しが重要です。昔のように全力で腕を振るのではなく、効率的で無理のない動きにシフトすること。次に、肩や肘の負担を軽減するためのストレッチや筋トレを日常に取り入れること。そして、少しでも違和感を覚えたら無理をせず、休養やリハビリを優先することです。
「まだ投げられる」ではなく、「まだ投げたいからケアする」という意識が、長くマウンドに立ち続ける秘訣です。
次回は、50代以降の投手に必要な「年齢に合わせた投球フォーム」について解説します。力任せのフォームから、“効率重視の投球”へ変えていくヒントをお伝えします。
次回予告
シリーズ第3回｜力を抜くほどキレが出る？ 年齢に合わせた投球フォームの考え方
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