第二塚善分店

多摩川の穏やかな風を感じながら、静かな住宅街を歩いていると現れる「第二塚善分店」。のれんの揺れる入口に、ふっと肩の力が抜けるような、そんな優しい空気が漂っています。

店内に足を踏み入れると、どこか懐かしい雰囲気。木の温もりが広がるカウンター席と、ゆったりとしたテーブル席。ご近所さんらしき常連さんが、のんびりと新聞をめくりながらそばをすする姿がとても絵になります。

注文したのは「ざるそば」。涼やかなざるに美しく盛られた細めのそばは、つやつやとした見た目だけで食欲をそそります。ひと口すすると、喉越しの良さと、そばの香りがふわりと広がり、思わずうっとり。キリッと冷えたつゆも、甘すぎず辛すぎず、そばの風味を邪魔しない絶妙なバランスです。

卓上には薬味のねぎとわさび、そして少し多めに盛られた海苔。好みで味の変化を楽しめるのも、老舗ならではの気配りを感じます。

季節限定のメニューもあるとのこと。夏は冷やしとろろ、冬は鴨なんばん…次の季節が来るのが待ち遠しくなるような予感。何気ない日常の中で、そっと寄り添ってくれる味が、ここにはありました。

日々の喧騒から少し離れたい時、気取らずにおいしいおそばを食べたい時——「第二塚善分店」は、そんな願いをやさしく受け止めてくれる一軒です。今度は温かいかけそばをいただきに、また伺いたいと思います。