人間とコンピュータが最初に競い合ったのは、チェスでした。1997年5月、ニューヨークで世界チャンピオンとIBMのチェス専用マシン「ディープ・ブルー」の対戦が行われ、「ディープ・ブルー」が2勝1敗3分けで勝ち越しました。この対戦はコンピュータ側の辛勝でしたが、今となっては世界チャンピオンでもコンピューターチェスに勝つのはほぼ不可能といえるほど、人間とコンピュータの実力差が離れてしまいました。
オセロも同様で「ロジステロ」が1997年、世界チャンピオンに6戦全勝しました。
次は、将棋です。「あから2010」が2010年、女流棋士に勝利したことを契機に次第に実力を付けていきました。2012年1月14日、将棋の元名人で米長永世棋聖と、コンピュータ将棋ソフトの「ボンクラーズ」が対戦。ボンクラーズが113手で米長永世棋聖を下しました。公式対局で男性棋士がコンピューターソフトに敗れるのは初めてで大きな記事になりました。さらに下って2017年4月、現役の名人が棋電王戦で人工知能「PONANZA」に敗れました。
囲碁界では、2014年にはようやくアマチュア5段レベルの力を付けたものの、コンピュータが人間に勝つのは10年先と言われていました。しかし、2016年1月グーグル・ディープマインド社開発の人工知能(AI)がプロ棋士(2段)に5勝0敗で勝利しました。これは、従来方式である差し手をしらみつぶしにチェックする力技ではなく、ディープ・ラーニングによる学習機能を取り入れたことによる勝利でした。さらに、2016年3月グーグルのAI「アルファ碁」が中国の人類最強棋士の一人に4勝1敗で勝利し、10年先と言われたコンピュータの勝利がここ、1、2年で実現しました。
でもその強いAIを作ったのも、使うのも人間なので、結局人間が一番凄いと思いたいのはやまやまですが、第二回で述べた通り、技術的特異点以降の世界では、人間を超えた機械が独自で進化するのではないかと言われています。
