ワープロの衝撃
ワードプロセッサ(ワープロ)が初めて職場に導入されたのは、入社後10年ほどたってからでした。
その当時のワープロはかなり大きく、事務机1人分を占有しておりました。机の脇には予約表が据え付けられており、使用する日時と利用時間を記入して順番待ちで利用するという状態でした。何しろ50名程の部に1台の割り当てでしたから、日中は競争で予約しました。予約した時間までに原稿が出来ないと、泣く泣く次の人に譲ったり、利用予定者が休みで時間が空くと延長出来たり、悲喜こもごもでしたが、顧客提出資料がその場で作れるというのは、画期的な出来事でした。ただし、図形作成の機能が充分ではなく、ワープロで回路図を作ることはまだまだ出来ませんでしたが、設計書や取扱説明書などは実に快適に作ることが出来ました。さらに良いことに、機能追加設計を行う際は、保存しておいた以前の設計書を引き出して追加する機能の部分を修正したり、補充したりすることで出来上がるので、画期的なものが出来たと喜んでいました。
作成した資料は、8インチフロッピーディスクに保存しました。直径約24cmの大きさに僅か1MBのデータしか入れることが出来ません。当然、写真も図形も使えず、ひたすら文字だけの資料でしたが、電源をいれると、ただちにワープロが立ち上がり、すぐに文書の作成に取り掛かることが出来ました。パソコンの様に、一旦パソコンを立ち上げ、それからワープロソフトを立ち上げるといった手間がいらず(当然ワープロソフトをインストールする手間も無しです)、現在でも根強いワープロ信奉者が居るのも頷けます。(おそらく絶滅危惧種に近い位の人数でしょうが)
8インチフロッピーディスクは後に5.5インチに、さらに3.5インチと次第に小さくなり、作成した文書をフロッピーに入れて外部に持ち出し、出張先で文書を修正することができる様になりました。また、ワープロ本体も小型化され、持ち運びできる様になりましたが、単機能の限界で、パソコンに押され次第にその姿を消していくことになります。
