スーパーコンピュータ京 その2(スパコン京の知られざる実力1)
スパコン京は、2011年6月にTOP500で世界一となり、1年間その座を守っていましたが、2012年にはアメリカのセコイア(Sequoia)、タイタン(Titan)に相次いでトップの座を奪われ、2018年6月のTOP500では第16位まで順位を落としています。また、日本国内においても、「大規模AIクラウド計算システム『ABCI』」に抜かれて2位になってしまいました。それでは、京は既に過去のスパコンになってしまったのでしょうか。
実は、現在でも国際的なランキング世界一の実力を持っています。
それは、国際的な性能ランキングであるGraph500において、2015年6月以来現在まで7期連続1位を獲得しています。さらに、スパコンの性能をより多くの視点から評価するため、新たな性能指標であるHPCGが発表され、そのランクに於いても2017年11月まで3期連続で世界第一位を獲得しました。これらの評価には、TOP500で京以上の処理能力を持つスパコンが多数参加していますが、京に追いついていません。
では、TOP500とGraph500、HPCGとの違いは何でしょう。
TOP500はLINPACと呼ばれるベンチマーク(性能を測定するためのソフトウェア)を使用します。この測定方法は1993年に作られ、計算科学応用向け性能を評価するため、スパコンの傾向を追跡・分析する基準として最も古くからあるベンチマークです。測定方法はn元連立一次方程式を如何に早く解くかを競うプログラムで、膨大な行と列の行列式を計算することになるので、規則正しい単純計算を気の遠くなるくらい沢山実行し、どれだけ早く出来るかというものです。
Graph500、HPCGについては次回掲載します。
